モデルとして、テレビ出演やラジオパーソナリティとしても活躍中の浜島直子さん、愛称“はまじ”。彼女がファッション、ビューティ、ライフスタイル、さまざまなジャンルで新しい自分を発見していく連載です。4月20日発売になる2冊目のエッセイ集『けだま』について、タイトルの由来や伝えたかったことを本人が語ります。

 

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タイトルとなった『けだま』は最後に収録されている一篇。母、義母、家族を軸に綴りながら、22歳の素直で可愛らしいはまじも、30代の不安でもがいていたはまじも、そこにはいます。

「幕の内弁当みたいな1冊にしようと思っていました。『服』を導入に書いている、という共通点はありますが、時代もトーンもさまざま。モデルになりたての頃の話もあれば、息子を出産したときのこともあるし、ミステリーハンター時代のエピソードも。真面目な話もあるし、ライトなストーリーもある。どちらかだけでは私自身も書いてきて飽きちゃうし、読んで下さる方も、物足りないと思うかもしれないし、重くて胃もたれしちゃうかもしれない。だから、いろいろな“味付け”のエッセイを書いて、そして本のタイトルにもなっている最終章の『けだま』には白米になってもらおうと決めて、書き始めました。どんなものを受け止めてくれる、どっしりした存在の一篇。言ってしまえば終わりよければすべてよしってことなんですけどね(笑)。

書き上がる前に、『けだま』というタイトルは決めていました。由来は、義母が着ていた中綿のベスト。いつも着ていたのですっかり毛玉がついていて、義母のことを考えたとき、一緒に思い浮かぶのがこれでした。当たり前のようにできる毛玉のような、普通の日常のことを収めた1冊。そんな意味を込めて考えたものです。

編集担当の方に、タイトルはひらがなで『けだま』にしたいと伝えた瞬間、一瞬固まったのがわかりました。まだ意図を伝えてなかったのでそれは困惑しますよね(笑)。OKはいただいて、書き始め、納得のいく一篇に仕上ったところで、送信。『素晴らしいものを書いてくれた。途中からずっと泣いていました。私も実家に帰りたくなりました』と返信をいただき、『けだま』にしてよかったと思えました。

その返信をもらったとき、私は近所の洋菓子店で贈り物のクッキーを買って自転車で帰るところだったのですが、その場で『やったー~!終わった~!』と私も泣いていました(笑)。文章を書くのは、まだまだ未知の世界で、手探りで作る楽しさもありますが、同時に苦手意識もあるので、これで全部書けた! とわかったときは本当に開放感でいっぱいでしたね。今もまだ開放感を味わっているところです(笑)」

その他にも「シスターモデルの七つ道具」「おまじないの靴下」「カゴ・カゴ・カゴ」「さらばブラジャー」など、そのタイトルから一体どんなエッセイ!? と、特にはまじと同世代のミモレ読者ならワクワクするようなストーリーが詰まっています。

「後書きにも書いたんですが、自分が着ていた服も出会った人が着ていた服も、本当に細部まで記憶しています。もうそれは引かれるくらいに詳細に(笑)。実際、ある一篇に出てくる俳優さんに許可をいただく意味も含めて確認したら『たぶん着ていたと思う……』と本人もうろ覚え。でも私は、それがどんな日で、どんなふうに現れて、というところまではっきりと覚えている。直接会っているときよりも、思い出して相手のことを考えているときのほうが、どんな人かよりわかる気がしています。記憶として残っているものが、その人のパーソナリティーや温度感をダイレクトに伝えてくれる。もちろん普段からこんなふうに考えてるわけではないですよ。エッセイを書いたからこそ、気づいたことです」

 Information 
はまじの2冊目の随筆集『けだま』が4月20日発売!

 

『けだま』
著者 浜島直子 定価1540円 大和書房

モデルはまじが、「服」を入り口に、愛してやまない普通の日常を温度感をもって綴る22編のエッセイ集。「カゴ・カゴ・カゴ」「おっぱいと水色のロンパース」「シスターモデルの七つ道具」「さらばブラジャー」など、はまじと同世代のミモレ読者には気になる題材が満載です。帯には、伊藤まさこさん、のんさんの推薦コメントも!



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構成・文/幸山梨奈
 


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