23歳だった看護師の由真さんは、17歳上の同僚医師の修(おさむ)さんに申し込まれ、とんとん拍子に結婚。しかし夫婦になった途端、勤めていた病院を退職させられ、修さんのクリニック開業をサポートするよう命じられます。

待っていたのは「給与という体裁の17万円の生活費を与えられ、フルタイム看護師と開業雑務と経理に家事、全部をこなすサブスク結婚生活」でした。

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「手取り17万円やるから、サブスクで働いて」開業医の夫が超世間知らずの妻を選んだ狡猾な狙い>>

「それ、現代の奴隷じゃない?」友人の言葉で目を覚ました世間知らずの彼女。親も頼れない...子連れの脱出作戦とは?_img0
 
取材者プロフィール  由真さん(仮名):33歳、看護師資格を持つ、シングルマザー。 
元夫の修(おさむ)さん(仮名): 50歳、神奈川県在住の内科開業医。

     
 


現代の奴隷


「仲のいい友人に状況を話すと『それって現代の奴隷……?』って突っ込まれることもありました。自宅兼クリニックの切り盛りはハードで、寝るとき以外はずっと家事か看護師業務、クリニックのサポート業務です。朝起きてから、眠るまでほとんど座ることはないくらい。

……確かに、こうして話すと悲惨な結婚生活なんですけど(笑)、この最初の3年はまだ、私にとって忙しいけれどガムシャラに患者さんやスタッフのために走った時間でした。看護師としては未熟も未熟だったので、全力で当たるしかないと。夫に無理を言って、20年のキャリアがある看護師さんを短時間だけパートで採用してもらい、たくさんのことを勉強させていただきました。

夫は余計なコストがかかったと怒り心頭。私の17万円のサブスク代は減額されて12万円になりましたが」

取材中、怒りの色はほとんどなく、由真さんは落ち着いた表情で過去を語ってくださいます。被害者意識を持たずに、目の前の仕事に集中して頑張ったという彼女。しかし、現実問題お金は足りず、親御さんが幼い頃から貯金してくれていたお金と、新卒で自宅通勤だったためにそっくり貯めていた1年弱のお給料を切り崩すような生活でした。

そんなある夜、修さんは唐突に宣言します。

「クリニックも軌道に乗ってきたし、子どもを作るぞ。20代の卵子が欲しかったんだ。跡継ぎが必要だから、男が出るまで頑張って!」