ギャンブル依存症の夫が株で失敗、1000万円以上の損失や借金を繰り返し、さらに義母との関係が悪化したことで離婚を決意した珠美さん(仮名)。待っていたのは、夫ではなく義母との子どもの親権争いによる泥沼離婚裁判でした。

さらに、離婚後に出会ったのは高学歴・高収入で元夫とは正反対の堅実な年上の男性でしたが、その正体は「究極のケチ」。事実婚関係でお子さんも授かりましたが、2人の関係は「たった4万円」が原因のバトルで破滅へと向かいます……。

エリートなのに「究極のケチ」...妻の連れ子を“時給で世話”する再婚夫。恐怖のエクセル請求の実態_img0
 
取材者プロフィール 珠美さん(仮名)45歳
職業:飲食店経営
家族構成:高校生の息子と娘、5歳の息子のシングルマザー

     
 

「男児獲得」に執念を燃やす義母 


義兄が突然交通事故で亡くなるという不幸のあと、珠美さんの夫である次男に執着し、様子がおかしくなってしまった義母。それに対処できない元夫に疲れ果て、珠美さんは離婚を決意しました。

元夫に家督を継がせるため、手段を選ばず珠美さんの仕事や生活を妨害していた義母は、珠美さん夫婦が離婚を決めた後もなかなか落ち着かず、今度は孫、それも長男だけに執着するようになりました。

「義兄が亡くなってしまったことは本当に可哀想だったと思います。でも、表面的には物静かで落ち着いた印象すらある義母が、実は執念深く癖の強い性格であったことは明らかで……。私のクライアントに何度も電話をかけて取引を辞めるように言ったり、息子を勝手に保育園から連れ去ろうとしたり。あの頃は義母が次は何をしでかすか毎日怯えていました」

地方の名家に嫁いだ義母は、長男を亡くしてしまった後、とにかく家の血筋を守ること、家督相続に必死だったそう。

子孫の男児はどうしても手元に置きたいというその執念はただならぬもので、義母は敏腕弁護士を雇い親権争いの裁判に発展。その費用を惜しまずあの手この手で親権を主張されるため、裁判は2年にも及んだと言います。

「日本では母親の権利が強いので息子の親権は守られましたが、この2年間は、私はとにかく『完璧な母親』でいなければならなかった。探偵をつけられ四六時中見張られていたのは明らかで、少しでも落ち度があろうものなら鬼の首を取ったように攻めてくる。なので子どもたち抜きでの外食や、保育園の延長すらほぼせずに仕事と育児の両立をしました。

最終的には、子どもたちの苗字だけは元夫の家のものを名乗る。二十歳になったときに改めて長男本人に家督を継ぐかどうか選ばせる、という公正証書を作るという着地になりました」

義母が必死に訴えていた「家督」の重要性がどれほどのものなのか、未だに分からないと珠美さんは力なく微笑みます。たしかに話を聞いている筆者も、それはまるで呪いのように感じてしまいました。

「ただ、最初に言った通り、元夫は“いい人”でした。株で失敗したお金は返ってきませんでしたが、月7万円の子ども2人分の養育費は今でも1日たりとも遅れたことはありません。義母とはもう関わりはないですが、彼との関係は今も良好です」

離婚後しばらくは「もう結婚は懲り懲り」と、物理的には多忙、しかし精神的にはむしろ気楽なシングルマザー生活を送っていた珠美さん。けれど再び、出会ってしまうのです。

「しばらくは結婚から解放されて自由な日々を送っていました。とにかく、お金にだらしない・義両親がヤバそうな男性とはもう絶対に親しくならないと心に誓っていました。でも、反面教師のリバウンドとでも言うのか……。

今度こそ『正解』と信じた男性と、また激しい泥沼劇が始まるとは思いませんでした」