夫のギャンブル依存症と、家族の不幸


「あるとき、夫の机に大量に溜まっていた郵便物に目がついて。何となく嫌な予感がして開封してしまったんです。そうしたら、株で1000万円近くも損をして借金までしていることが判明しました」

夫は貯金を使い果たし、さらに消費者金融や実兄にも借金をしていたそう。何も知らなかった珠美さんは大変なショックを受けつつも放っておくことはできず、自分のお金ですべての借金を精算しました。

「原因はよくわかりませんが、借金までしているなんて、おそらくギャンブル依存症なんでしょう。でもこのときは私に金銭的余裕があり何とかなる範囲だったので、『次はない』『お金はいつか返して』と言い聞かせて元夫を許しました。

でも、その直後にとんでもない不幸が起きて……元夫のお兄さんが、突然の交通事故で亡くなってしまったんです」

義兄は崇さん一家の中でただ1人だけ珠美さんとも関係良好で、とても優しい方だったそう。崇さんも株で失敗してしまった際には真っ先に頼り、お金を貸してくれたのも義兄でした。

「そんな義兄が亡くなってしまい、家族みんな落ち込んでいました。特に義母の状態は深刻で、泣きながら支離滅裂な様子で何度も電話をかけてきたり……本当に可哀想ではあったんですが……」

「男の子を2人産んでおいて、よかった」火葬場での義母のセリフに戦慄...嫁を襲う姑の奇行とは _img0
 

突然の身内の不幸に珠美さん夫婦も落ち込んでいましたが、珠美さんは義母の行動にさらなる衝撃を受けることになります。

「実は元夫の一家は田舎のちょっとした名家なんですが、火葬場で義兄を見送った時の義母のセリフは一生忘れられないと思います……家族みんなが泣いている中、義母が無表情でボソリと、でもハッキリとこう言ったんです」

ーーああ、よかった。男の子を2人産んでおいて。

この瞬間、珠美さんは背筋がスッと冷えたと言います。

ーー昔、占い師に言われたことが当たったわ。家督を継ぐのはお兄ちゃんじゃなくて、崇だって言われたんだもの。

この言葉を皮切りに、義母は次男の崇さんに異様な執着と依存を見せるようになりました。

 

崇さん一家に地元茨城に住み、家業を継ぐように言い始めたのです。珠美さんが会社経営までしていることはお構いなしに、嫁は専業主婦として家族のお世話に専念することが前提でもありました。

それを断ると、義母はほとんど発狂状態で、珠美さんの仕事のクライアントに「嫁は会社を辞めることにしました」と嘘の電話をかけ始めたというから驚きます。義母の営業妨害はどんどんエスカレートし、それを止めることもできない元夫に珠美さんの気持ちは疲れ切っていったそう。

「夫は産後に義母の対応に困っていた頃も何もしてくれませんでしたが、このときも傍観するばかりでした。彼の母親のせいで大変な思いをしているのに、この人と夫婦でいる意味はない……そう思い始めてしまって。でも、彼もお兄さんを失ったりして、ストレスが溜まっていたのかもしれません。元夫はまた株で失敗して、500万円も借金を作っていたんです」

借金発覚後、我慢の限界が訪れた珠美さんはついに離婚を決意、崇さんは抵抗せずに承諾しましたが、今度は子どもたちの親権争いで義母と2年間も争うことになります。

夫婦関係とは当人だけでなく、このように嫁姑の関係が大きく作用することがあるようです。

珠美さんの義母を襲った不幸には胸が痛みますが、我が子とはいえ、家庭を持つ個人を思い通りに動かそうとすると、どうしても人間関係は歪んでしまうのでしょう。また、嫁姑の間にトラブルが起きたとき、妻の味方をする夫は滅多にいない印象です。

味方まではせずとも、解決の手助けくらいはできるのではと思いますが、男性は自分を取り巻く女性の争いに介入するのが根本的に苦手なのでしょうか。

来週公開の記事では、過熱する嫁姑バトル、その後出会った事実婚のパートナーと「たった4万円」が原因で始まった愛憎劇について語っていただきます。

写真/Shutterstock
取材・構成・文/山本理沙

 

「男の子を2人産んでおいて、よかった」火葬場での義母のセリフに戦慄...嫁を襲う姑の奇行とは _img1
 

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