命の瀬戸際に立たされる人をあらゆる面で支援しているが……


——大澤さんは緊急で切迫した相談が寄せられる現場の状況を発信されています。いつもとにかく「現場が限界を超えている」というのをすごく感じます。

自分が断ったら、この人は死んでしまうかもしれない。公的制度の空白を埋める現場の限界【入管法改正・仮放免の現実】第三回_img0
写真:Shutterstock

大澤:人も物資もお金も足りていない、というのが現状です。最近は特に、子供や赤ちゃんがいる方からもよく相談を受けるんです。とある赤ちゃんは輸血が必要なほど貧血なんです。とりあえず病院に繋げたのですが、ちゃんと治療を続けていくとなると高額な医療費が必要なので、場合によってはこれから支援を断らないといけないことも出てくると思うんです。でも、断ってしまうと、最悪死んでしまいます。
「自分が断ると死んでしまう」、という緊張感が支援者にはあります。日本の戦後まもなくってこうだったのかな、と思うことがあります。

自分が断ったら、この人は死んでしまうかもしれない。公的制度の空白を埋める現場の限界【入管法改正・仮放免の現実】第三回_img1
 

——仮放免の方のシェルターを用意したり、食事を用意したりというのは寄付でほとんどされているんでしょうか。

 


大澤:そうですね。つくろい東京ファンドはほとんど寄付で成り立っています。主に個人の方の寄付です。シェルターは12世帯あります。ホームレスになってしまうとどうにもならないので家賃の手当てなどもやっています。家賃や運営費で費用はものすごくかさみます。

——本来国が公的な制度を整えるべきところを、民間の団体がすべて背負っているというのは信じがたい現状です。

大澤:最近仮放免の方に送るお米が足りなくなってしまうということがおきました。そこで、普段こういうことはあまりやらないのですが、苦肉の策でお米や食料をTwitterで募集したんです。そしたらたくさんの方が送ってくださって、部屋が埋まるほどのものすごい量になりました。見てくれている人はいるし、どうにかしなきゃいないと思う人がいるんだな、と思いました。
ただ、人や物資が足りていないからと言って支援組織を大きくして頑張るのも違うと思っていて、そこはやはり公的制度が変わるべきです。