健康保険に入れない。医療が必要な外国人のために、病院を探し回る理由


——難民申請の代行や、通院に付き添ったりもされていると聞きました。仮放免の方は健康保険証がないから10割負担になってしまうので、無料低額診療(低所得者などに医療機関が無料または低料金で診療を行う)をしている病院を探すこともあるそうですね。

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外国人の生活支援を担当する大澤優真さん。仮放免の状態にある人の病院への付き添いも行う。

大澤:大したことはできませんが、お手伝いをしています。毎回病院を探しています。病院の皆さんも頑張って下さっています。ただ、病院側にも限界がありますから、お願いしたからといって必ず受け入れてくれるわけではない。それに、手術や特別な治療になると費用が莫大になり大変です。また、病院によっては治療費を200%、300%の額で請求してくるところもあります。

 

——外国人だとプラス料金をとるところもあるんですよね。それはなぜなんでしょうか。

大澤:理由が明確ではないんです。病院側の主張としては「通訳代がかかる」などです。ただ、私が行った200%、300%の医療費を請求される病院に通訳がいたことはないです。
元々の発端としては、インバウンドでお金持ちの外国人を医療で呼び込もうということだったようです。ただ、蓋を開けてみると、やってくるのはお金持ちというより、無保険の外国人の方が多く、結果医療費が払えない。

——200%、300%の医療費を請求するなんて、診療代は病院が自由に決められるものなんですね

大澤:自由診療なので、病院が決めるんです。そういった病院があることを、厚生労働省も把握しています。病院の人にも、理由を聞いたのですが、「決まりです」としか言われません。結果的にお金のない外国人を追い払う形になっています。