先日、東京都現代美術館で開催されている『クリスチャン・ディオール、夢のクチュリエ』展にお邪魔してきました。
ディオールのドレスと建築家の重松象平さんが手がける空間演出の組み合わせに興味があって、どうしても鑑賞したかった展覧会です。
興奮冷めやらぬままひとことで感想を伝えると……、本当に行けてよかった! 連日、大盛況となっているのも納得の素晴らしい展覧会でした。

 

「ニュールック」を象徴する「バー」スーツや、日本とディオールの深い関係が紹介されているコーナーに始まり、とても興味深かったのが、歴代のクリエイティブ ディレクターによるドレスの展示です。
イヴ・サン=ローラン、マルク・ボアン、ジャンフランコ・フェレ、ジョン・ガリアーノ、ラフ・シモンズ、マリア・グラツィア・キウリたちの作品を見ていると、時代による違いだけではなく、ディレクターによってそれぞれのカラーがあることが伝わってきました。

私がモデルの仕事を始めた頃にちょっと背伸びをして手に入れた洋服はジャンフランコ・フェレなのですが、ディオール時代の作品とはまた違うんだな、という新たな発見も。
ひとりひとりのディレクターの個性を際立たせながら、どのようにしてブランドとしての“ディオールらしさ”やスピリットを維持してきたのか。
裏側にある歴史やストーリーをさらに知ってみたい、現代のお洋服を未来の人が見たらどんなことを感じるのだろう? と好奇心を刺激されるコーナーでした。

 

ダイアナ妃やシャーリーズ・セロンらセレブリティが着用したドレスを展示するコーナーも、とても素敵でした! 私だったらレッドカーペットでどのドレスを着てみたいかな? と想像する楽しさも(笑)。

 

天井まで「レディディオール」が展示されている部屋や、ドレスやバッグ、靴などが色別に展示されている部屋もまるで夢のよう。
自分の手元にあるバッグも愛を持って大事に使わせてもらおう、と思わせてくれる空間です。

 

様々なコレクションはもちろんのこと、私が感動したのは写真や照明、プロジェクションマッピング、音など、すべてにこだわった展示方法です。
なかでも、高さが20メートルほどもある空間にドレスが整然と並んでいて、そこに星空の映像が映し出されるコーナーがいつまでも見ていたくなるほど素晴らしかった! 
その他にも、オートクチュールのための試作品が並ぶ真っ白な部屋や、日本庭園をイメージした展示室も。鏡の上にドレスが飾られていて、まるで水面のような鏡をのぞき込むと中のチュールが見えるという仕掛けにも、細部に対する愛情を感じました。

そして私の心をつかんだのが、この展覧会のポスターも撮っている写真家、高木由利子さんの作品。
バレエダンサーが身に纏ったディオールのドレスはまるで生きているようで、写真の一枚一枚の陰影もとても美しいんです。
高木さんが英語でインタビューに答えている映像も拝見しましたが、高い山に登って新しい景色を見るためには準備を怠らず、信じたことをやり続けるしかないんだな、と刺激をもらいました。

アートとドレスの組み合わせによって、こんなにも心が動くなんて! という喜びを与えてくれた『クリスチャン・ディオール、夢のクチュリエ』展。
私のように普段は美術館にあまり縁のない人でも、きっと楽しめる展示会だと思います。
 

【写真】真剣な表情で展示に見入る米倉さん
▼右にスワイプしてください▼

「クリスチャン・ディオール、夢のクチュリエ」展 開催中
パリ装飾芸術美術館での成功に続き、ロンドン、ニューヨークと世界を巡回してきた「クリスチャン・ディオール、夢のクチュリエ」展が、東京都現代美術館で開催中。

ほとんどが初公開となる貴重なアーカイブ資料で、クリスチャン・ディオールが影響を受けた芸術、彼の庭園に対する愛、ディオールのコレクションに最初から影響を与えていた日本の豊かな創造性への魅力など、ディオールと日本の貴重な歴史を紐解く特別な展示です。

<展覧会概要>会期:2022年12月21日(水)- 2023年5月28日(日)
休館日:月曜日
開館時間:10:00 - 18:00(展示室入場は閉館の30分前まで)
会場:東京都現代美術館 企画展示室 1F / 地下2F 
〒135-0022 東京都江東区三好4-1-1

観覧料:一般 2000 円 / 大学生・専門学校生・65 歳以上 1300円 / 中高生以下無料
臨時夜間開館日時:5月13日(土), 14日(日), 20日(土), 21日(日), 27日(土), 28日(日)
いずれも20時まで(展示室最終入場19時30分)
写真/おっくん
文/細谷美香
構成/片岡千晶(編集部)

 

 

前回記事「米倉涼子の新作映画レビュー『ヴィレッジ』辛い社会の問題から目を背けないで」>>