年齢を重ねてくるとトラブルが増えてくるお口問題。歯磨きをきちんとしているつもりでも、口の中の細菌によって知らず知らずに歯周病が進んでいることも。40代以上なら、きちんと知っておきたい口腔内の健康や歯周病について歯科医師に話を伺いました。 

先日、「30代以上の大人の約80%が歯周病にかかっている」という新聞記事を見つけた時、かなりの割合に驚きました。80%というと結構な高い率ですよね。まわりの人が罹患していると言っても過言ではない数字、にも関わらず「私は大丈夫」とどこか他人事。それが先日の歯科検診で「歯周病ですよ」と。え? 私、がですか?
 

 

丸尾勝一郎先生/マルオ歯科 理事長 歯学博士・インプラント専門医・補綴専門医
神奈川歯科大学 特任准教授、日本口腔インプラント学会 専門医、日本補綴歯科学会 専門医International Team of Implantologyフェロー、広報委員会メンバー
東京医科歯科大学 歯学部に入学。現役で歯科医師国家試験に合格した後、同大学院へ進学。博士号を取得した後、東京医科歯科大学歯学部附属病院インプラント外来に勤務。その後、岩手医科大学補綴・インプラント学講座に助教として赴任。インプラント外来医局長やハーバード大学と共催の卒後研修プログラムのプロジェクトリーダーなどを務める。2012年、世界で20名が選抜されるITIスカラーシップにてハーバード大学歯学部インプラント科に留学し、インプラントおよびデジタル歯科治療の世界的権威Dr.German Gallucciに師事。留学帰国後はインプラント・デジタル歯科・EBMに関する歯科医師向けの講演・シンポジウムなど多岐にわたって活動中。2018年三軒茶屋マルオ歯科、2021年恵比寿マルオ歯科開院。

 

「中度の歯周病」、思いもしなかったけどその要因は自分で作っていた?


毎日の歯磨きは欠かさずしているし歯茎の腫れや出血もなく、歯のケアだけは真面目にやってきた、つもり。だから歯周病と聞いた時は態度に見せなかったけど、心情はかなり落ち込みました。
「歯周病はパッと見ではわかりづらく、定期検査を受けて初めて知るという人がほとんど。ですが、放置したままにしておくと最悪は歯が抜けてしまうこともあるので早めの治療をおすすめします」と恵比寿にあるマルオ歯科の理事長・丸尾勝一郎先生。
丸尾先生は「歯周病の治療を軽んじていると後に糖尿病や動脈瘤などの病気になることも。決して見過ごすことはできない」と言います。

 

――歯周病ってどんな病気なのですか?

歯周病とは細菌の感染によって引き起こされる炎症性疾患で、歯の周りの歯茎(歯肉)や歯を支える骨などが溶けてしまう病気です。よく「歯肉炎」という言葉も耳にすると思いますが、歯肉炎は初期段階の歯周病なんですよ。以前は年齢を重ねるほど発症する確率が高くなると言われていましたが、今は若い年齢層の方でも歯周病を発症しているため、油断は禁物です。

――虫歯と一緒で症状の進行度合いに差があるのでしょうか?

もちろん、症状が軽ければ少しの治療で済むことができるので、早めの治療をおすすめします。歯茎の腫れや出血はSOSのサイン。歯茎が痩せて歯がグラグラしだした場合は歯茎の状態がかなり悪いため、放置しないこと。
 

\歯周病検査、どうやるの?/

 

大きくは3つ。
①針状の機器を使って、歯の表面と裏面の「前・中・後ろ」の計6箇所を押しながら歯周ポケットの深さを測るプロービング検査。炎症・出血の有無も同時に確認
②歯周病の原因ともいわれる歯垢(プラーク)のチェック
③歯を支える土台となる骨の状態をチェックするレントゲン検査

歯周ポケットの深さは1ミリ単位で計測され、1〜2ミリは歯肉炎・3〜4ミリは軽度歯周炎・5〜6ミリは中等度歯周炎、7ミリ以上は重度歯周炎で分けられる。 

BOPは測量時の出血の割合を表示していて、平均数値(25〜27%台)に対し、私は30%超え。多すぎます……。

私の検査結果は、前歯は2〜3ミリ、真ん中あたりは4〜5ミリ、奥歯は6〜7ミリの危険信号でした。「前歯はきちんと磨けていますね。この調子で」とホッとしたのもつかの間、「問題は真ん中から奥歯ですね」と。奥歯に関しては出血も見られ、「正しい歯磨きができていない」とバッサリ。歯と歯の間がスカスカしているところは「歯を支える歯茎が痩せて良好とは言えません。放置しておくと歯を支えられず抜けてしまうことも。インプラントやブリッジを入れることになりますよ」と言われ、即、治療の予約をいれました。

 
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