老いに対するネガティブな先入観を取り払う

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「老い」は性別・職業を問わず誰にでも平等に訪れますが、向き合い方は人によって大きく異なるのではないでしょうか。

自然の摂理として超然と受け入れる人もいれば、あの手この手で進行を食い止めようとする人もいるでしょう。中には、恐怖に感じるあまり老い自体から目を背けてしまう人もいるかもしれません。そうなってしまうのは、メディアを通してネガティブな情報ばかりを受け取っていることも一因ではないでしょうか。

 

では、本当に老いというものは悲観視すべきものなのか? 一つでもポジティブになれる要素はあるのか? その実態を教えてくれるのが、92歳の中村恒子さんと54歳の奥田弘美さんという精神科医コンビによる対談本『不安と折り合いをつけて うまいこと老いる生き方』です。

思春期に第二次世界大戦を経験し、戦後の混乱期から精神科医として活動されている中村先生のコメントは、いい意味で現代社会の常識とは無縁。老いに関する目からウロコの事実を次々と浮き彫りにしてくれます。一方、高度経済成長期の豊かな日本で生まれ育った奥田先生は、これから老いを迎える多くの読者の分身といえ、自分たちがいかに実態とかけ離れたイメージに囚われているかを、身をもって分からせてくれるでしょう。

老いに対するネガティブな先入観をスカッと爽快に取り払ってくれる本書。今回は「アンチエイジング」と「自己実現」についてお二人が語った部分を抜粋してお届けします!

著者プロフィール
中村恒子(なかむら つねこ)さん

1929年生まれ。精神科医。1945年6月、終戦の2か月前に医師になるために広県尾道市から一人で大阪へ、混乱の時代に精神科医となる。二人の子どもの子育てと並行して勤務医として働き、2019年(90歳)までフルタイムの外来・病棟診療を継続。奥田弘美との共著『心に折り合いをつけて うまいことやる習慣』(すばる舎)は16万部超のベストセラーとなった。現在はリタイアして心穏やかな余生を送っている。

奥田弘美(おくだ ひろみ)さん
1967年生まれ。精神科医・産業医(労働衛生コンサルタント)。日本マインドフルネス普及協会代表理事。内科医を経て、2000年に中村恒子先生と出会ったことをきっかけに精神科医に転科。現在は精神科診療のほか都内20か所の企業の産業医としてビジネスパーソンの心身のケアに従事。著書に、『1分間どこでもマインドフルネス』(日本能率協会マネジメントセンター)、『「会社がしんどい」をなくす本 いやなストレスに負けず心地よく働く処方箋』(日経BP)など多数。