「私の全生涯を通じ、真心を込めて、皆様の信頼に応えられるよう努力します」。1953年6月2日、戴冠式を終えたイギリスのエリザベス女王が、ラジオで国民に語りかけた言葉です。このとき、女王は27歳でした。
それから70年という英王室最長の在位期間を全うされたエリザベス女王は、2022年9月8日に96歳で逝去されました。そんなエリザベス女王が大切に紡いできた「言葉」に改めて光を当て、1冊の本にまとめたのが、英国王室ジャーナリスト・多賀幹子さんによる『英国女王が伝授する 70歳からの品格』です。
ファッショニスタとして世界中にファンを持ち、チャーミングな笑顔で人々を魅了したエリザベス女王。ですが、即位した1952年は世界でも女性のトップがほとんどいなかった時代。女性のリーダーの少なさを切実に感じていた女王は、「人類の厳しい進歩にやさしさとおもいやりを吹き込んだのは女性だったのです」といった、女性が果たしてきた役割や重要性についてもたびたび国民に訴えています。
長きにわたりエリザベス女王を見つめてきた多賀幹子さんが、「女王ほど言葉の力を信じた人はいない」と伝える本書から、今回はその一部を特別にお届けします。
多賀幹子(たが・みきこ)さん
英国王室ジャーナリスト。東京都生まれ。お茶の水女子大学文教育学部卒業。企業広報誌の編集長を経てフリーのジャーナリストに。元・お茶の水女子大学講師。1983 年よりニューヨークに5 年、95 年よりロンドンに6 年ほど住む。女性、教育、社会問題、異文化、王室をテーマに取材。執筆活動のほか、テレビ出演・講演活動などを行う。公益財団法人 北野生涯教育振興会 論文審査員。著書に、『孤独は社会問題』(光文社新書)、『ソニーな女たち』(柏書房)、『親たちの暴走』『うまくいく婚活、いかない婚活』( 以上、朝日新書)などがある。最新刊は『英国女王が伝授する 70歳からの品格』(KADOKAWA)
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