メンタルダウンに気づけないと回復が遅くなる。ぜひ専門医へ


「ホットフラッシュには、女性ホルモンであるエストロゲンを補うホルモン補充療法(HRT)がとても良く効きます。2ヵ月くらい治療を継続すると、症状が改善する方が多いです。ほかの症状においても、ホルモン補充療法や漢方などを試して身体に合うものが見つかれば、体調が多少安定するはずです。『更年期だから不調なのは当たり前』だと思わずに、迷わず婦人科を受診してほしいです。

今の体調不良を我慢して、それによるストレスも重なってメンタルの不調をきたしたとしてもなかなか受診が必要だと思えず、治療にアクセスできないと当然、そちらの方が治りにくくなります。

今の更年期世代の母親たちの世代は、更年期の不調のために病院に行くという意識があまりなく、治療法も確立されていませんでした。ホルモン補充療法が確立されたのは、2000年あたりで、割と最近なんです。

更年期による不調というのは、ホルモンの影響だけでなく、社会的な環境も大きく影響しています。ですから、不調を感じたら、まずは専門医にかかること。私は婦人科医としても産業医としてもきちんとその必要性を伝えていきたいと思っています」
 

「更年期で身体がつらい」と職場に言う必要はない。伝えるべきは、回復の見込み【高尾美穂先生】_img0
 

高尾 美穂(Miho Takao)
イーク表参道副院長。産婦人科医。医学博士。婦人科スポーツドクター。ヨガ指導者。働く女性の産業医。婦人科の診療を通して女性の健康をサポートし、 女性のライフステージ・ライフスタイルに合った治療法を提示し、選択をサポートする。アプリstand.fmで毎日更新される番組『高尾美穂からのリアルボイス』では、体や心の悩みから人生相談までリスナーの多様な悩みに回答。著書に『いちばん親切な更年期の教科書【閉経完全マニュアル】』(世界文化社)、『大丈夫だよ 女性ホルモンと人生のお話111』(講談社)、『更年期に効く 美女ヂカラ』(リベラル社)などがある。


イラスト/Shutterstock
取材・文/千葉泰江
構成/宮島麻衣
 

「更年期で身体がつらい」と職場に言う必要はない。伝えるべきは、回復の見込み【高尾美穂先生】_img1
 

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