前回の記事では、「自分を解放した生き方で、心から笑えること」についてお伝えしてきました。今回からは、そんな本物の笑顔に映えるチークメイクについて具体的にお話していきます。

最初にご紹介するのは、ヘルシーさと知的さを兼ね備えた大人のサンタンメイクです。くすみオレンジのチークを使ったメイクはこれからのシーズンに最適なだけでなく、私たちがもともと持っているシミやそばかすと混ざり合うことで、より生き生きとした印象に仕上がるんです! 私たちの普段の悩みをポジティブなものに変えてくれる素敵なメイクに、ぜひ挑戦してみてください。

 

メイクアップアーティスト 水野未和子
オレゴンに留学後、イギリスに渡り、London College of Fashionでメイクアップを学ぶ。卒業後、フリーランスのメイクアップアーティストとしてロンドンでキャリアをスタートし、帰国後は多くの雑誌や広告、CMなどを手がける。人によって違う、その人だけの魅力をディファイン(明確に)するメイクに定評があり、数々の女優やモデルが厚い信頼を寄せる。そのメソッドをまとめた著書『ディファインメイクで自分の顔を好きになる “私だけの魅力”が絶対見つかる自己肯定メソッド』が好評発売中。
【Instagram】@mizuno.miwako

 

メイクしたての顔が一番美しいとは限らない。
完璧に作り込まない、日常に映えるメイクを目指す

ブラウス¥44000/リュンヌ ピアス¥121000、リング(右手)¥55000、(左手中指)¥44000、(左手薬指)¥107800/全てヒロタカ(ヒロタカ 表参道ヒルズ) ネックレス¥45100/ルドゥテ

雑誌やソーシャルメディアではシーズンごとに「トレンドカラー」や「若見えメイク」がひっきりなしに叫ばれています。そんな情報に義務感さえ覚え、自宅の鏡の真正面から、この上なく真剣に、無表情で自分の顔にメイクをしている人も多いのではないでしょうか。メイクはもっともっと自分ありきでいい。そんな情報も自分らしく上手に取り入れることができれば、メイクがさらに楽しくなるはずと私は考えます。

世の中には毛穴やシミひとつない、モデルさんの商業写真が溢れていますよね。でも、そのほとんどは、大なり小なり加工されています。それは一般のソーシャルメディアでも同じこと。

実際に2017年には、不可能な理想を追求してしまう人々が増えている状況を鑑み、モデルの商業写真に修正を施した場合、「加工写真」と明記することを義務づける法律がフランスで施行されました(これは体型に関するものが中心ではあるのですが)。いまや、美容も社会問題となっています。自分にありえない理想を追わせ、心やからだの健康を害するような「ファッション ヴィクティム」ならぬ、「美容ヴィクティム」を増やすべきではないと、いちメイクアップアーティストとして思うことがよくあります。

 

シミやそばかすは撲滅しなくていい!
むしろチャームポイントになると知ってほしい


たとえば、年齢と共に増えるシミやそばかす。美容医療で完璧に消してしまう人もいるけれど、顔の「雑味」みたいなものって、それほどネガティブなものでしょうか。シミやそばかすひとつない人形のような肌ってなんだか不自然。

もちろん、すごく大きくなったシミなど、あまりにも目立つものは、コンシーラーなどでカバーするのもアリ。だけど、小さなシミひとつ許せず視野が狭くなると、余計に細かい部分が気になり、必要以上にカバーをして逆に悪目立ちすることがよくあります。

それに、私たちの表情や顔の状態は、日常のなかで刻々と変わり続けていますね。話したり、笑ったり、汗をかいたり、皮脂が出てきたり……。完璧を目指そうとしなくても、動き続ける表情と内側から溢れるグロウ感とが相まって、より一層、その人の表情が輝く瞬間があります。メイクをしてすぐの顔よりも、2時間後の顔のほうが肌になじんでその人の一部になることがあるように。私は撮影現場でいつも、動きのなかでその人自身が輝く顔を作るよう心がけています。

そこで今回私がみなさんにご提案するのは、リアルな日常生活で、振り返ったり、ふとうつむいたりする動きのなか、その人が一番素敵でいられるような、ライブ感のあるチークメイクです。今回のサンタンメイクも、少し明度をおさえたオレンジチークに肌の雑味が混じり合ってできる肌感がとても魅力的。自らなくしてしまうのが惜しくなるくらいです。ぜひ今回お伝えするチークの入れ方をマスターして、自分のシミやそばかすを愛してください!

 
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