お子さんの大学入試で、小論文を視野に入れているでしょうか。現在多くの大学・学部で増えてきている総合型選抜(旧AO入試)や学校推薦型選抜に含まれる科目です。
「小論文の学習は今までの学校で学んできた学習と同列ではない」と、柴山翔太さんは言います。柴山さんは国語科教員で、福岡県にある私立福岡女子商業高校に赴任後、前年度は0人だった国公立大学合格者を一気に20人に引き上げました。その肝となったのが、小論文の指導だったのです。

柴山さんの著書『きみが校長をやればいい 1年で国公立大合格者を0から20名にした定員割れ私立女子商業高校の挑戦』より、私立福岡女子商業高校の学生たちのやる気を上げた大学入試小論文指導のやり方について抜粋してお届けします。

 

大学入試小論文とは?

写真:Shutterstock

大学受験で小論文試験を受けた人はそれほど多くないのではないでしょうか。

現在の40〜50代の方であれば、センター試験あるいは共通一次試験(現在の大学入学共通テスト)などの筆記試験を受けて、大学に入学した方がほとんどだと思います。

時代とともに大学入試の形態も変わり、一般入試のほかに「学校推薦型選抜(旧称・推薦入試)」や「総合型選抜(旧称・AO入試)」を取り入れる大学も多くなっています。

世界水準で見ると共通テストなどの一般入試の方が少数派であり、世界の入試は推薦入試が多数です。また、日本も今後、学校推薦型選抜や総合型選抜の割合が増えていくことが予測されており、これは求められる力が変わったと認識すべきでしょう。

そもそも小論文は、あるテーマや議題に対する問題文に、自分の立場や考えを表明し、それに対する意見を記述します。与えられた問題を形式的に解く問題ではないので、普段から自らの考えや主張を持つ訓練をする必要があります。

実際、僕が中学校に訪問してお話をする機会をいただいたとき、大学の小論文問題を先生方に見せるのですが、ほとんどの先生が「90分でこの問題に解答するんですか? これは難しい。よく生徒たちは答えられますね」と驚きの様子で応えられます。

僕自身も、大学を選ぶときに小論文が課される入試は避けました。今となってはその話を元に「さまざまなことにチャレンジしてみなければどこに自分の長所が隠れているかわからないよ」と生徒たちには話しています。

僕もそうだったように小論文に苦手意識を持っている高校生は非常に多いです。
推薦入試に挑戦している高校生が小論文対策の指導を受けたものの「やっぱりムリだからやめる」と諦め、一般入試に切り替えていく事例もよく聞きます。

これは小論文指導に関わる多くの先生方も、課題として認識しています。

どうすれば適切な指導ができるのか、生徒をどうすれば引っ張っていけるのか、試行錯誤しながら指導をしている先生方は多いのではないでしょうか。

コマを埋めるためにとりあえず小論文対策のテキストを使って生徒に指導する。

でも、テキストベースの指導になっているので先生も生徒も面白味がなく、辛い部分だけが残ってしまう。そうなると、先生も生徒も小論文に取り組むのをやめて一般受験に切り替えようかという話になっていきます。

しかし、小論文対策は推薦入試に対応する上で最も効果的だと思っています。推薦入試の点数比率を見ると、書類と面接で2割、小論文で8割など小論文試験に高い配点をつけている大学も多いです。もちろん書類や面接も推薦入試では大切ですが、小論文の点数比重が大きい以上は小論文に力を入れるのは必然です。

また、さまざまな社会問題を理解するためにも小論文として出題される文章は本からの出典が多いのでかなりの読書量を確保できます。インプットとアウトプットを繰り返す小論文は学ぶ力の獲得にとても有効です。