子どもたちが豊かな性行動をとれるようになることを目指す

写真:Shutterstock

「サークルの合宿で先輩に性行為を強要された」「SNSで知り合った相手に裸の写真を送り、それをネタに脅された」など。筆者はこういった未成年者の性トラブルのニュースを目にすると、他人事とはいえちょっとした悔しさを感じることがあります。

 

というのも、正しい性知識を持っていたら被害者はうまく逃れることができたかもしれないし、もしかしたら加害者側も罪になる行動を起こさなかったかもしれない、と思わなくもないからです。もし彼らが性行為に関する正しい線引きを知っていれば、相手の無茶な要求に従うことも、嫌がる相手に危害を加えることもなかった……そう考えるととても残念な気持ちになります。

そうやって子どもたちが判断を誤ってしまうのは、私たち大人が正しい性知識を伝えていないことが一因かもしれません。かといって、自分たちもきちんとした性教育を受けたわけではないので、教えたくてもやり方がわからず戸惑ってしまいますよね。そんな迷いを抱えている人、特に思春期のお子さんの性教育に悩んでいる人の味方になってくれるのが、『発達が気になる子の性の話 みんなでいっしょに学びたい』という書籍です。

「子どもたちが正しい性の知識を学び、自分自身や相手を大切にし、豊かな性行動がとれるようになること」を目指す本書は、発達がゆっくりな子どもたちにもわかりやすいよう、イラストやまんがをふんだんに入れ、平易な文章でつづっていますので、内容をそのまま伝えるだけでも子どもたちに理解してもらえるでしょう。

からだの仕組みからセクシュアリティ、恋愛感情、性行為、さらにはSNSに潜む危険まで。性に関するさまざまな情報が網羅された本書から、今回は、多くの大人が戸惑うであろう「セックス」について書かれた部分を抜粋したいと思います。

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セックスに関する「相手の意志」の確かめ方
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