相談④ 思いがけず昇進を打診され、戸惑っています。断ったらペナルティはありますか?

「業務指導はパワハラ?」「上司と不倫しているという噂を流された」...職場での「グレー」な問題に社会保険労務士がアドバイス!_img0
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村井さんのアドバイス:就業規則上、規定があれば懲戒処分を受ける可能性があります。

会社には自社の人事について一定の裁量権が認められています。ジョブローテーションを行う会社はこの権利に基づいて人事計画を持ち、昇進もそれに含みます。特に総合職は、将来の幹部候補として期待される存在であり、昇進を前提に採用されているともいえます。

しかし、昇進は労働者にとってメリットばかりではありません。例えば、管理監督者になることで残業代がつかなくなったり、責任範囲が広く重くなり、今までとは異なる能力を要求されることから、昇進を敬遠したいと考える人も増えてきました。博報堂が「気楽な地位派vs責任ある地位派」でどちらがいいかを調査(※1)したところ、「気楽な地位」を選んだ人は84%に上りました。今後も、昇進に戸惑う人は増えていくと考えられます。

 

しかし、会社は事業の発展のため、労働者に多くのポストを経験させて、活躍の場を広げてほしいと思っています。見込んだ労働者にはより多くの経験を積ませ、さらに活躍させるため、業務命令として昇進を行うのです。

一般的に、昇進は辞令に先立って内示があります。就業規則に昇進についての定めがあり、また労働者側も総合職のように昇進することを当然として採用されている場合、労働者には昇進を受ける義務があるといえます。ただし、育児や介護、健康上の事情によって昇進に懸念があるときは、それを伝えることで会社に配慮させることができます(※2)。仮に、保育園の開所スケジュールを理由に土日の勤務ができないときはあらかじめ内示段階で伝えておくべきでしょう。

しかしながら、正当な理由なく打診を断ることは業務命令違反にあたります。就業規則に昇進拒否を理由とした懲戒処分について記載があり、会社が労働者側の都合に応じて調整してもなお受諾しないときは、処分される可能性もあるのです。

※1:博報堂生活総研「生活定点1992-2022」

※2:労働契約法第3条第3項「労働契約は、労働者及び使用者が仕事と生活の調和にも配慮しつつ締結し、又は変更すべきものとする」