もっと身近にきれいを叶えるスポットや美容法を紹介する第三弾。今回は「ほくろ」編。シミ取りとほくろの施術内容の違いって意外と知らないことばかり。ハードルの高い施術でもあるがゆえに、「本当は気になっているんだよね」というみんなの疑問・質問に応えるべく、今回、体当たり取材に行ってきました。

写真:Shutterstock


今になって余計に気になる「ほくろ」、ミドル世代でも取れますか?


企画の打ち合わせをしていた時のこと。美容クリニックの話になりました。そんな中、担当編集者から「以前はそれほど気にならなかったけど、今は気になって仕方がないのよね」とほくろの悩みを打ち明けられました。確かに他の人に比べると、ほくろの数は多いかもしれません。ですが、そこまで気になるものでもないような……。いつもお願いしているカメラマンさんに、自宅で撮影したスナップ写真を渡して「試しにほくろを消してみて」と遊び半分でレタッチを頼んでみたら、その変化がスゴかったんです。やっぱり違うんです!

ほくろ画像処理前 
 
ほくろ画像処理後
 

レタッチで、顔のほくろを全部なくすとこんなにもすっきり!「ほくろがなくなった分、シミが目立つようになっちゃった! でも、この差は確かに大きい!」(ミモレ編集・國見)

「ほくろって一度気になり出したら、ずっと気になるの。でもシミ取りと比べ、高度な技術が必要だから、信頼できる先生にお願いしたいんですよね。そうするとなかなか踏み出せずにいる」と現在50歳の編集部の國見さん。意外なことにミドル世代は「自分もできればほくろを取りたいと思っている」という女性が多いことにも驚きました。

 

そこで、ウォブクリニック中目黒総院長の髙瀬聡子先生に「40・50代になってもほくろは取れますか?」と聞いてみたところ、「ほくろの大きさ・色・顔のどこにあるのかなど、実際に見てみないと何ともいえませんが、ある程度の大きさのものなら除去することは可能ですよ」と。長年のモヤモヤを解消すべく、ほくろ取り施術を決行することに!

 

ウォブクリニック中目黒 総院長
髙瀬聡子先生


医療法人社団 愛心高会 理事長・ウォブクリニック中目黒 総院長。1995年慈恵会医科大学卒業後、同付属病院本院にて臨床研修終了。96年から慈恵会医科大学付属病院皮膚科に入局・皮膚科診療に従事。特にアトピー外来・レーザー外来などを担当。2007年1月当院を開設し、医療・美容の観点から多くの患者の肌悩みに寄り添った治療を行っている。また、今までの経験を活かし、セミナーや雑誌・デジタルなどで正しいスキンケアの方法を伝授。『いちばんわかるスキンケアの教科書』(講談社)は美容に携わる人たちの間で“スキンケアのバイブル”とも言われている。


大人になるとほくろが増えるってホント?  ほくろとシミの見分け方って?


髙瀬先生も「ほくろ悩みで来院したけど、実際に部位を診察すると、ほくろではなくシミだったりすることも。ほくろとシミはまったく別モノなので治療方法も異なります。だからきちんと診てもらい、正しい治療をすることが大事です」。
確かに。そこで、高瀬先生にほくろについての基礎知識を教えてもらいました。

Q1:ほくろって何ですか? メカニズムを教えてください。


ほくろの正式名称は「母斑細胞母斑(ぼはんさいぼうぼはん)」と言います。 ほくろはメラニンを作る細胞(母斑細胞)が増えて固まった良性のできもの(良性腫瘍)で、見た目は黒色や茶褐色をしているものが多いです。大きさはシミサイズの小さなものから大きなものまでさまざまです。

Q2:ほくろができやすい体質・習慣などはありますか?


体質でいえば、ご両親・兄弟姉妹にほくろが多いとその傾向はありますね。他には「刺激」に弱いです。「ほくろが気になって触っていると、いつの間にか大きくなった気がする」というのは本当。できるだけ触らないようにしましょう。

また、「紫外線や生活習慣などでほくろができる」と思われている方がいらっしゃいますが、ほくろは紫外線や生活習慣等との関連性はないと言われています。あえて言うなら、今あるほくろが「紫外線」の影響で「濃くなる」という可能性はあります。

Q3:良いほくろ・悪いほくろというのはあるのでしょうか?


良いほくろ・悪いほくろというのは素人では判断しかねるところはありますが、のちにガンになる悪性のほくろは確かにあります。ほくろから出血したり、急に大きくなったり、色ムラがあったりするのは要注意。他には青みのあるほくろは母斑細胞の根が深いといわれていて、除去する際も注意が必要です。気になるようでしたら専門医に診てもらってください。

Q4:一度除去したら、ほくろは二度とできませんか?


ほくろの根っこである母斑細胞を取ってしまえば大丈夫。シミのように繰り返しできるようなことはありません。ただし、この細胞がしっかり取れていなければ繰り返しできてしまいます。実は、大きいほくろよりも小さなほくろを除去する方が難しいんですよ。サイズが小さいと根っこも見づらく、難しい判断を迫られるんです。

Q5:ほくろとシミは同類ですか? 同じ種類なのでしょうか?


これも多く聞かれるのですが、シミとほくろは仕組みが全然違います。シミはメラノサイトが放出したメラニン色素が肌に残って色素沈着を起こした状態であり、その多くは紫外線の影響を受けてできるもの。

一方、ほくろはメラノサイトが変化して母斑細胞が一部分に固まってできたものですから、紫外線とは全く関係ないのです。余談ですが、「ニキビ跡がほくろになった」と来院する方も多くいらっしゃいます。ですが、ニキビ跡はシミなんです。ほくろではありません。

ほくろとシミは見た目の違いはもちろん、治療法も異なります。ほくろは、皮膚を削ってほくろ細胞を削ぎ取らなければ完治しません。それに対し、シミは色素を抜けばいいので、皮膚を削らなくていいんですよね。仕組みを知れば、全く別モノであることがわかりますよね。