骨密度のために、整形外科医が勧める運動習慣
人生の骨密度のピークは20代で、これには遺伝や成長期の食生活、運動習慣が深くかかわっています。骨密度検査で骨密度が低いとわかっても、今から成長期のように骨密度を増やすことはできません。ただ、減少スピードを緩やかにすることは可能です。
「基本的なことになってしまいますが、今から運動の習慣をつけておくことです。
おすすめの運動は歩くこと。週3回、4000〜8000歩が理想的です。そして筋力トレーニングも。有酸素運動との組み合わせが最も効果があるとされています。
ただ、40、50代の女性は多忙です。運動する時間が取れず、肩こりや腰痛もつらいのに、更年期症状までもが重なって、ギリギリの状態で我慢しがち。でも何もしなければ、骨も筋肉も落ちていきます。一駅前で降りて歩くなど、日常生活の中でできることからでもいいので、身体を動かす習慣をつけていきましょう」
矢吹先生は、週に2回マシンピラティスに通っているそうです。自分の体の状態を感じ、弱いところを調整したり、自然に正しい体の使い方が身につくのがよいのだとか。また、普段の体の使い方を正しく知るには武田淳也先生の『カラダ取説』という本がおすすめとのこと。
健康寿命を延ばせるのは、ほかならぬ自分だけ。「Exercise is Medicine」、運動は何よりの薬です。身体を動かすことを習慣にすることで、未来の寝たきりや認知症も防ぐことにつながるのです。
矢吹 有里(Yuri Yabuki)
ゆりクリニック院長。東京女子医科大学を卒業後、慶應義塾大学整形外科医局に入局、関連の急性期病院で整形外科全般の治療に携わったのち、東京都済生会中央病院整形外科医長に。整形外科疾患の中にも女性特有のものが多く存在することを実感し、2017年に女性専門の整形外科「ゆりクリニック」を開院。運動器リハビリテーションから体力維持のためのトレーニングまで、女性の健康に寄り添うほか、「骨美容®」を提唱し、若い世代からの骨密度維持の大切さを啓発している。
取材・文/熊本美加
構成/宮島麻衣
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