いざリノベ!の前に。考えるべきは「間取りとレイアウト」 〜京都の事例から


空間における好きな世界観は見えてきましたか? 目指す方向が決まったら、リフォームや模様替えをすぐに始めたくなりますが、ちょっと深呼吸。動き出す前に空間のイメージを変化させる「間取りとレイアウト」について考えてみましょう。

「間取り」とは部屋や廊下などの配置、「レイアウト」とは家具や収納棚などの配置を示します。私がリフォームを行うときにまず考えることは、スタイルをどう実現していくか? ということより先に、この空間でもっと広さと豊かさをもたらす間取りとレイアウトは再考できないか? ということです。

例えば…… 子どもがいなくなって二人生活になった夫婦ならば、小さな部屋はいりません。一人生活が続く予定の方でしたら、スタイリッシュな「見せる寝室」として、ベッドルームとリビングルームとを繋げて広いスペースにすることも可能です。料理が好きならば調理台を大きくとったオープンキッチンに、和室を使わないならば畳を取り払ってバリアフリーの空間にする、といったこともできます。このように、間取りやレイアウトを考え直すということは、空間づくりの骨格を組み立て直すプロセスとなります。

戦後の日本の家の間取りは、廊下を長くして部屋を左右に細かく配置し、大きなテレビをメインの部屋(主にリビングルーム)の目立つところに配置する設計が人気でした。でも今は、テレビを観るにしてもパソコンなどのガジェット、プロジェクター、あるいは移動できるレイアウトフリーのテレビも選べるので、間取りが自由に考えられます。

京都のリフォーム事例をご紹介します。

「これから夫婦二人」「これから一人」のための間取りとレイアウト【行正り香・インテリアのヒント】_img0
〈before〉 閉じられた印象のキッチン。壁を取り払ったオープンタイプに変更。
「これから夫婦二人」「これから一人」のための間取りとレイアウト【行正り香・インテリアのヒント】_img1
〈after〉 壁を取り払い、かつアイランドタイプの作業台を新たに設置。

こちらの住まいでは、子ども部屋が必要ないので、いくつもに分かれた部屋は必要ありません。寝室には存在感の薄い、見た目にも美しいベッドを置けば、ヘッドボードを隠すだけで「ベッドルーム感」がなくなり、ホテルのようなワンルームに変更できます。そして、キッチンはクローズタイプからオープンにすることで、料理がより楽しめるキッチンになったうえ、広々とした印象の空間に変わりました。

 


さらにリビングルームの中央に位置して目立つ存在だったエアコンは、目立たない場所に移動。テレビは配置せず、ロールカーテンをスクリーンとしてプロジェクターを取り入れ、部屋から家電の存在感をなくしました。
大型テレビを入れたい場合は棚を作って収納したり、レイアウトフリーのテレビに買い替えることで存在感がなくなります。冷蔵庫、洗濯機、電子レンジなどの家電類、そしてコンセントも、どんなデザインであっても美しい存在とは言い難いもの。どこに何を配置すれば目立たなくなるか、真剣に考える必要があります。

「これから夫婦二人」「これから一人」のための間取りとレイアウト【行正り香・インテリアのヒント】_img2
〈before〉存在感の大きいエアコンは、冷暖房の効率を考えつつ、目立たない場所に移したい。
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〈after〉 エアコンやテレビといった無機質な家電の存在がないだけで、あたたかみのある印象になる。さらに、分けられていた奥の部屋をなくしてひと繋ぎにしたことで、ホテルライクなゆったりとした空間に。

空間は舞台と同じです。あなたの舞台で、主役としてスポットを当てたいのはどこですか? それは絵画ですか? 鏡ですか? ダイニングテーブルですか? 住まいを変えたいからといってすぐに「リノベをしよう!」と考える前に、部屋をどんな骨格にしていくか、まずは間取りやレイアウト、大型家具の配置を考えてみましょう。
 


納得のいく家づくり・部屋づくりのための 
〈 HOMEWORK 〉

部屋の間取りやレイアウトについて、考えてみましょう!

□ その住まいは何人で利用しますか? なくしても問題ない“余計”な部屋や廊下はありませんか?
□ 家具や家電は今のレイアウトがベストですか? 部屋をより広く見せるレイアウトはないでしょうか?
□ テレビの位置はこのままでよいですか? 目立たないようにするには、どんな方法があるでしょうか?

□ いつか買い替えるならば、どんな冷蔵庫にしますか? 家具のように見せられる冷蔵庫を探してみましょう。

 

写真・文/行正り香
撮影/結城剛太

 


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