30年間賃金が上がらない日本で、ワーホリを希望する若者が増えている理由「たとえ限られた期間でも...」_img0
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日本は海外旅行大国であり、多くの人が海外に出かけますが、一方で「島国根性」という言葉があるように、海外の生活事情については興味関心を示さない人も意外と多いようです。面白おかしく作ってあるテレビ番組や雑誌記事などの影響なのか、一部の人は英語さえできれば海外で仕事をすることは簡単だと考えているようですが、現実は全く異なります。

 

ほとんどの国は、外国人が自国内で労働することを厳しく制限しており、労働に必要なビザ(就労ビザ)を取得するのは並大抵のことではありません。特にアメリカのように、世界各国から就労希望者が集まる国では、よほどの人材でなければ就労ビザは発給されません。

海外就職を目指して海外企業にアポイントを取ると「就労ビザがない人は応募できません」と追い返され、就労ビザを取るために、当該国の移民局に問い合わせると、今度は「就職が決まっていなければ就労ビザは発給しません」と言われてしまうのがオチです。

先ほど述べたように、現実問題としてビザが発給されるのは、海外企業から「是非ウチに来てほしい」と誘われ、その会社がスポンサーとなって就労ビザの取得をサポートしてくれ、ようやく当局が認めるというケースがほとんどです。

こうした厳しい現実があるため、漠然と海外就職を考える人はたくさんいるものの、それを実行する人はごくわずかというのがこれまでの常識でした。

ところがワーホリという限定的な就労機会であったとしても、日本の賃金がここまで安くなると、就労機会として真剣に検討する人が増えることになります。就労目的の渡航が増えすぎてしまうと、本来のワーホリの趣旨からは少々ズレた状況になることが懸念されますし、日本の労働市場にとってもよい影響を与えないでしょう。

ワーホリの制度を使ってでも、しっかりとお金を稼ぎたいと考えるガッツのある若者は、本来なら日本社会でその能力を発揮してもらった方が良いことは言うまでもありません。

一連の状況を改善するには、何度も繰り返され指摘されていることではありますが、日本の労働環境や賃金を改善・向上させ、若い人にとって魅力ある社会にしなければなりません。やはり、ワーホリは本来の趣旨に基づき、相互に若者が交流し、両国間の理解や親善を深める目的で使われることが望ましいと言えます。
 

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