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今世紀最大の裏金問題が、もはや「疑獄」というに相応しいレベルに広がる中、あっさりと国会が閉幕しました。

国民は茹でガエル状態、もはや日本は独裁国家でしかないんだなあと何百回目かわからないくらい実感しているわけですが、それにしてもイライラすることだらけだった今年の国会。中でも史上最大の不愉快は最終盤、野党からの不信任決議案が否決された瞬間に「裏金1000万円の松野」が浮かべた、薄汚い「ドヤ笑み」でした。

 

なんていうか、茹であがる寸前のカエルが手も足も出せずもがくさまに、自分の力を確認して喜ぶ邪悪な幼稚さ、というか。カメラの前にあんな醜さを晒しても平気なほど腐っちゃっているとは。

にしても今回の不信任決議案の否決に、私は結構な衝撃を受けました。本来なら逮捕という流れもあり得る、少なくとも道義的には議員辞職くらいぜんぜんありな展開にもかかわらず、国権の最高機関である国会が「裏金1000万円の松野」に役職を辞めさせることすらできない状況に。もっと言えば、「道義的には完全にクロ」という松野博一官房長官の不信任案に、与党の議員が誰一人賛成しないことに。

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ええ、ええ、わかっています。そこに「党議拘束(党の決定に従わないと処罰される)」があることは。

でも松野氏の更迭は決まっていた、つまり自民党内、政権内でも「そういう人が閣僚ってのはないでしょ」という感覚はあったわけです。にもかかわらず不信任案は否決。吐き気すら覚えるあの笑顔を考え合わせると、そこにあるのは「野党ごときが、俺をクビにできると思うなよ」っていう力の誇示、陰湿なマウンティングでしかないし、「造反すれば、除名・離党勧告・党員資格停止(党から追い出される、干される、政治資金止められる)」という党議拘束は、政治家としての道義的責任よりも、自分たちが食いっぱぐれないこととか、党の権力維持のほうが優先されていることを示すものにほかなりません。

まあだから自民党は世襲のほかは「党に見捨てられたら食いっぱぐれる」「スポーツ界や芸能界で縦社会に慣れてる」「政治的な信条も能力も知識もない」という有名人ばっかり候補者に選ぶのかもしれません。パリ出張でキャッキャしてるだけの今井絵理子議員みたいなのが一番重宝、報告書なんて出さないでそのままキャッキャしててね、ってことなんでしょう。

そんな国会で、眼を見張ったこともありました。それは「れいわ新選組」代表、山本太郎議員のキレキレの国会質問です。

国会質問の多くが「かったるい」のは、それがほぼ「台本通りの寸劇」だから。

質問内容は事前に相手に知らされ、それに合わせた答弁が作られ、国会でのやりとりはそのペーパーを読み上げるのみ。特に「当選回数と派閥の力学」で就任した、専門知識も何もない自民党の閣僚は、官僚から渡されたペーパーを内容も確認せず読み上げるだけ(質問と違う答弁した人もいましたね…)だし、答えたくない時答えられない時はそもそもの答弁が質問の内容とズレてるし、それでもペーパー読み上げを厚顔無恥に繰り返して押し通すだけです。


野党の質問者は、答える気のない相手に「ちゃんと答えてください」という押し問答を繰り返し、でも自分の持ち時間内に残りの質問もしたい(この質問をした、という事実を残したい)わけで、結局はのらりくらりとかわされた、という印象で終わります。


山本太郎氏のそれはまったく異なります。

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そもそも閣僚がまともに答える気がない、議論する気もないことを前提に、彼らが答えられない理由をさぐり、彼らの無能さや知識の無さ、言葉の矛盾と無責任さを浮き彫りにすること——つまり追及が目的です。答える気のない人に質問投げても時間の無駄ってことがわかってるわけですね。


この追及が絶大な説得力を持つのは、ベースに明確なデータと記録があり、それを官僚の口から言わせているためです。

 
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