今はSNSでだれでも情報を発信できる時代。あなたが知りたかった情報は、誰かがもうネットの海で発信しているかも。本特集は、ミモレ編集部から「新たな視点を得ることができる」「癒しになる」「知らない世界のリアルがわかる」情報をSNSで発信し、密かにバズっている人=「バズり人(びと)」さんのSNSアカウントをご紹介します。
今回は、「カリスマ店員」じゃなくてもファンのお客様がつき、売り上げを上げられる接客術についてInstagramで日々発信し続ける「ゆり|カリスマじゃない販売員の【必勝】接客術」さんにインタビューしました。
ゆりさんは、12年ほどアパレル販売員として働き、現在はアパレル会社の教育部門で研修講師をしています。
「カリスマ」じゃなくても売れる販売員になれると伝えたい
―― Instagramで発信をし始めたきっかけを教えていただきたいです。
ゆりさん:私は昨年の4月から、アパレル会社の教育部門で研修講師をしています。それまで約12年ほど販売員をやっていました。その半分以上の期間を店長やマネージャーとして販売員を指導する立場にいたんです。
私は販売員時代、いわゆる「(売り上げ)上位店」ではなく、郊外の大型ショッピングセンターの店舗に配属になることが多かったんです。なので、通行客数が少なく売り上げも厳しいのでどうしよう、と悩むことが多くて。
そこで、通行数が増えないなら同じお客様に何回も来てもらえばいい、という発想になったんです。そのためには顧客対応力を上げるしかないと考え、そこに振り切ってお仕事をしていました。
ありがたいことにファンのお客様も多くついていただいて、販売員時代の後半には個人のスタッフアカウントを開設し、出勤日を投稿したら絶対にお客様が来てくれる状態になりました。
そうして顧客対応力向上に注力していった結果、 新作発売などのイベント日に顧客の方を多く呼ぶことができて、エリアの上位店よりも売り上げが上回ったんです。そこで「顧客対応力って武器だな」と思ったんです。
私のアカウント名には「カリスマじゃない販売員」とあるんですけれど、世の中には何万人もフォロワーさんがいて、その方が立ってるだけで売れるという「カリスマ店員」の方って昔も今もいらっしゃると思うんです。けれど、私はそうではなかったし、そうはなれなかった。
でもカリスマじゃなくても、半径数キロ以内のお客様をお店に呼ぶことができれば、 売り上げが底上げできるということをいろんなショップの皆さんに発信したいなって思ったのがきっかけの一つです。
きっかけとしては、あともう一軸あります。
私は実は販売員をしながら、実は非常勤で専門学校の講師もしていました。そこで、俗に言うZ世代の人たちに向けて、販売ロープレの授業をしていたのですが、私たちの世代とは認識が違っていて、こちらから伝える話が全然刺さらないことがあったんです。
その時、スーツをビシッと着た研修講師の方が来ても、言い方が悪いですけれど「あのおばさんウザいんだけど」で終わっちゃうと思ったんですよね。
そこで、ちょっとおもしろおかしく勉強できて、でも最後まで見たらためになるコンテンツだったら若い人たちにも見てもらえるんじゃないかと考えてこのアカウントを始めてみました。
販売員の現場でZ世代への指導の仕方、伝え方に悩んでる店長たちを多く見てきたので、そういう方達がスタッフに「このアカウントが参考になるから」って紹介できるものになったらいいですし、研修の依頼が来た時にも先方で「今度この人が来るよ」と周知した時に、「あー、なんかインスタで見たことある」って言ってもらえたら万々歳だなと思っています。
今は「丸パクりOK」とプロフィール欄に書いているように実際の接客術を多く投稿していて、「こういう考え方でお客様に接したらきっとファンは増えるよ」というマインドの部分はまだ発信しきれてないんですけれど、今後はやっていきたいなと思っています。
――「まだ伝えきれていないマインドの部分」とはどのようなものなのでしょうか。
ゆりさん:まず第一に、よく使われる言葉ですが「お客様目線」を大事にすることですね。 販売員の皆さんって自分もお客様だった時代って絶対誰しもあるはずなんです。その時には「この店員さん感じが良いな」とかきっと無意識に思っていたはずなのに、販売員として働き出すと忘れてしまっていることが多い。
なので、今、自分がお客様にとってどう見えてるか、自分が発するフレーズがどういう風に受け取られてるかを考えることがまず大事だと思いますし、「こう言ったらお客様に喜んでもらえそうだな」という対応を実践していくことで、「良い店員さんだな」って思っていただけて、「また会いたい」と思ってもらえる。この「また会いたい」が、次回の来店のきっかけになるので、お客様目線で考えて行動して、また会いたいに繋げてほしいなと思っています。
ミモレ世代に関連したお客様目線の例だと、以前私が働いていたのは若年層ブランドだったのですが、 「お母さんや、お母さんみたいな人に接客するんだったらどうするか」という観点を大事にしていました。大型ショッピングセンターだったからこそ、ミモレ世代の主婦層が多かったので、スタッフに「自分のお母さんだったらどうやって声をかける?」ということを言っていましたね。
うちの母もギリギリ50代なんですけれど、お母さんみたいな人が買い物に来た時に「ユニクロで大丈夫ですよ」だけ伝えても、合うインナーは選べないんじゃないかと想像したり、娘の服を買いに来たという方も多かったので、そういった時にだるそうな挨拶だけだと、「私が入れるお店じゃないな」と思われて帰られちゃったりとか、「ちょっと怖いな」って思いをしながら買い物するのってすごく申し訳ないと思ったんです。
だって、自分の母親が買い物に行ってそんな思いをしてたら、娘としては悲しいじゃないですか。
この気持ちは若い世代もわかってくれたので、そんな気持ちでお客様に接してほしいと伝えていました。
私たち販売員からしたら、一日何百人も接客する中の一人かもしれないけれど、お客様にとっては一回一回が大事な体験なので。
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