——娘さんの保育園での様子を教えていただけますか?

保育園で娘は穏やかに過ごすことができました。

障がいの特性に理解がある保育士さんに見守られながら、健常児と一緒の部屋でも楽しく過ごせるということを目の当たりにし、驚きました。


娘でも無理なく参加できるよう、運動会は近隣の大きな公園でレクリエーションを開いてくださいました。ピーッと始まりの笛が鳴ると、親子たちは矢印が設置されている道順に沿って、用意されているゲームを楽しんでいましたが、娘は一目散にテープが張ってあるゴールに向かって走っていったかと思うと、大好きな長い木の枝を見つけて拾い上げ、あとは風に向かってうれしそうに走っていました。それぞれの楽しみ方を認めてくれた運動会だったので、肩身の狭い思いをせずに過ごすことができました。

 

学芸会は、カフェを開催してくれました。先生方が、パンケーキが好きな娘のことを考慮してくださったんです。親がお客さんで、子供たちが注文を取り、パンケーキを焼いてもってきてくれました。

音楽会では、じっとできない娘は歌う子たちの前を自由にうろうろするばかり。でも気に留めるお子さんはおらず、私だけが冷や汗をかいていました。演奏後は他の保護者の方々が一様に「お嬢さんも楽しめたみたいでよかった。大きくなりましたね」とねぎらってくれました。

そうして迎えた卒園の日。娘は今後、理解のある健常児の子たちと一緒に過ごす接点がなくなってしまうのかもしれないと思うと、涙がとまりませんでした。

でも娘の特性を思うと、就学先は、個別にしっかり寄り添って育ててくださる学校の方が合っているということも確信していました。

複雑な思いが入り混じった卒園式でした。

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著者プロフィール
工藤さほ

1972年12月生まれ。上智大学文学部英文科卒。1995年朝日新聞社に入社。前橋、福島支局をへて、東京本社学芸部、名古屋本社学芸部、東京本社文化部で家庭面、ファッション面を担当。2012年育休明けからお客様オフィス、2019年から編集局フォトアーカイブ編集部。こども家庭審議会成育医療等分科会委員。
東京都出身。

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構成・文/工藤さほ
編集/立原由華里

 


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