「ママじゃないといや」

そう言って、だだをこねてパパを困らせる幼いお子さんは多いと思います。しかし娘の場合、度を超していました。私が娘の視界から外れると、精神崩壊を起こすのではと思うほど、泣き叫び、最後は嘔吐します。泣き叫んでいたのに、静かになったなと思うと、指を喉の奥に突っ込み嘔吐し、吐瀉物を手でなでて仰向けになっていることもありました。

 

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「障がい児及び医療的ケア児を育てる親の会」という団体があります。この会では、障がい児や医療的ケア児を育てながら、働き続けたい親たちが、ゆるやかにつながり、支え合っています。

障がい児や、医療的ケア児を育てながら働こうとする親の前には、両立を続けるためのハードルが幾重にも立ちはだかっています。子どもや家族の暮らしを守るため、この団体は行政や勤め先への働きかけを続けています。ケアの必要な子を育てている親も働き続けることができるよう、育児・介護支援制度を子の年齢で区切らず、障がいや疾患の状態に応じて配慮してもらえるよう、社会を変えようとしているのです。

この会の会長であり、朝日新聞社に勤めながら、重度の知的障がいを伴う重い自閉症の15歳の娘さんを育てていらっしゃる工藤さほさんへのインタビュー、第3回めです。

第1回はこちら>>>【障がい児を育てながら働く①】親が離職し、経済的にも困窮。ワンオペ育児・介護で親も心身に不調をきたし...という現状を変えるために

第2回はこちら>>>【障がい児を育てながら働く②】「この子、なにか違う?」出産直後から日々募っていく、そこはかとない“不安”

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——前回、スプーンでヨーグルトを食べさせるということに非常に苦労されたとおっしゃっていましたが、1歳頃の娘さんの様子や、そのころの工藤さんの思いなどをもう少し詳しくお伺いさせてください。当初、復職についてはどのようにお考えだったのでしょうか?