かつて少女漫画界を席巻した「俺様男子」。そのドSなキャラクターに多くの女子がキュンキュンしたのも今は昔。このご時世、「お前は俺のものだ」なんて女性を所有物扱いしているだけですし、「バカか、お前は」などと言われようものなら普通にモラハラ。全部記録をとっておいて、あとで裁判の証拠に使います。

こうした「俺様男子」を肯定的に描くことは女性蔑視を助長することにもなりかねず、ファンタジー性の高い漫画の世界ならさておき、実写――特に連ドラにおいて「俺様男子」は今や絶滅危惧種。

そんな中、久々に現れた典型的な「俺様男子」が、現在放送中のドラマ『となりのナースエイド』(日本テレビ系)の竜崎大河(高杉真宙)です。外科医としては超一流。だけど、無愛想でドライな性格は、ザ・俺様男子。にもかかわらず、不思議と不快感がありません。

日本テレビ『となりのナースエイド』第5話(2月7日(水)夜10時〜放送)より。

ずっとその理由は「高杉真宙の顔面が良すぎるから」の一点で納得していたのですが、よくよく見てみると、どうやらそれだけではない模様。今回は、大河先生に見る「令和のシン・俺様男子」について考えてみたいと思います!

 


【1】実は毒舌ではない


俺様男子につきものなのが、口の悪さ。ヒロインのことを「ブス」呼ばわりする相手役も、平成の頃は珍しくありませんでした。

大河先生も口が良い方ではありません。主人公・桜庭澪(川栄李奈)のことを「お前」と呼びますし、女性ではなく「女」と言う。このあたりは正直減点対象。寝ている間に小坂明子の『あなた』をひたすら流し、他人のことをあなたと呼べるよう睡眠学習とかかけたい。

けれど、実は相手の人格や容姿を貶めるようなことは決して言いません。大河先生は口が悪いのではなく、嘘をつかないだけ。徹底した合理主義で論理思考ゆえ、感情に流されることを好まず、ストレートな物言いになってしまうけれど、別に他人を見下しているわけでもない。なんなら澪の能力をいち早く見抜き、正当な評価をしたのが大河先生でした。そこが、大河先生の好感の持てるところ。

毒舌という要素を取り除き、他者へのリスペクトをプラスした俺様男子が、大河先生なのです。