日本国内はともかく、国際社会において女性蔑視発言は基本的に許容されません。蔑視発言を受けた公人が抗議しなかった場合、その国は差別を認めていると見なされてしまいます。案の定、海外メディアは、日本の政界における不平等が明るみに出たといったトーンで批判的に報じています。

こうした事例を紹介すると、「日本は日本」「何でも海外のマネをする必要はない」といった批判の声が寄せられるのですが、こうした批判を行っている人たちは、国際社会のルールを受け入れないことが、どれだけ日本の国益を損ねているのかについて、なぜか無関心です。確かにすべてを海外と同じにする必要はありませんが、こうした状態を放置した場合、最終的に私たち国民が大きなツケを払わされるのです。

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1月12日、米国を訪問。ブリンケン国務長官との会談に臨む上川外相。写真:AP/アフロ

多くの日本人はお人好しですから、国際社会でも、日本国内と同じような「話せば分かる的」カルチャーが通用すると思っているようです。しかしながら現実はそうではありません。国際社会というのは日本人が想像もできないくらい弱肉強食の世界であり、少しでも弱点を見せれば、完膚なきまでに叩きのめされます。

 


日本は人権に関して多くの問題を抱えており(技能実習生や入管での人権侵害、刑事司法における被疑者・被告人の扱い、親権に関する問題など)、国際社会では常に防戦一方の状態です。

日本の人権侵害が国際社会でやり玉にあがった場合、矢面に立って交渉するのは他ならぬ外務大臣の上川氏です。諸外国から上川氏に対し「自身に降りかかった蔑視発言ですら抗議できない現実を考えると、日本に状況を変える能力はないのでは?」と指摘された場合、上川氏には反論する術がありません。交渉は圧倒的に日本が不利になることでしょう。

近年、何かについて日本と利害が対立する中国は、数多くの人権侵害を行っており、本来であれば、日本は人権問題を武器に、中国を牽制することが可能です。ところが、日本も同じように人権問題を抱えていることから、中国に対して強く出られないという現実があります。

上川氏の一連の対応によって、日本は人権問題という大きな弱点があることを、わざわざ諸外国に露呈する結果となってしまいました。確かに上川氏がどう対応しようが個人としては自由ですが、日本という国家が失った利益は大きいと言わざるを得ません。
 

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