「実家が太い」学生たちとの残酷な対比
悠馬が恵にしたことを知った悠馬の彼女・彩は、由希たちの仲間になります。しかし、100万円強奪計画を実行した後、それが彩たちによる犯行だと勘づいた悠馬に迫られ、彩は由希たちと手を組んだことを認めてしまいます。彩は由希たちが住む寮に行き、謝るのですが、その時、由希は彩に言うのです。
「住む世界も違うし。彩と私たちは住む世界が違う」
由希たちが通う大学と悠馬や彩が通う大学は、インカレのサークルなどで交流はあるものの、対照的です。由希たちが通う大学は就活で大学名が有利に働かない一方、悠馬や彩が通う大学は内部進学生がいるような名門校で、実家が太い学生も多いのです。彩はジュエリー会社の娘で、複数の指につけたリングや華奢な腕時計、ネックレスなど、身に着けるものからも豊かさが垣間見えます。
問題が起きても親のお金で解決する悠馬や(といっても悠馬は悠馬で親との確執に悩んでいます)、何かあっても親の後ろ盾がある彩。一方、お金がなくてパパ活などで必死にお金をかき集めないといけない由希たち。両者のコントラストは、社会に引かれた見えない線を象徴するようです。
性的同意、性被害の実情を誠実に描く
このドラマの大きな特徴は、性暴力について本当に丁寧に描かれていること。中でも、性的同意や、被害に遭った人が声を上げられない現状について、こんなにしっかりと描いた作品は珍しいように感じます。
事態が進んでいく中で、被害者は恵だけではなく、サークル内で性暴力が横行していたことが分かります。由希たちはその証拠を集めようと、複数の被害者と接触し話を聞きます。
「私は人間じゃなくて、ただ、女っていう記号でしかないんだって思った」「したくない人とそういうことしたってこと忘れたくて。でも消えるわけなくて」。
被害者は心に大きな傷を負い、今も苦しみ続けていることが分かりますが、決定的な証拠は見つかりません。LINEのトーク画面を見ても、加害者は何事もなかったかのようにいつも通りのメッセージを送っているし、被害者たちも普通に返信しています。よく、被害に遭ったら警察に行けばいい、と言いますが、被害者は自分を責めるし、決定的な証拠をとるのは難しい現実があります。
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