「被害を黙認しない」周囲の存在は「光」
恵は性暴力の被害者のケアや、性的合意について考える団体が主催するミーティングに参加します。スタッフの高梨塔子(野呂佳代)が「同意のない性的行為はすべて性暴力」「性的同意は人権の話」と話すのを聞いても、恵は家についていってしまった自分が悪い、もっと強く抵抗すればよかったと自分を責めます。高梨はそんな恵に言います。「あなたは悪くない」「一番大切なのはあなたの意思」。高梨と話すうちに、「自分は性行為を望んでいなかった」と吐露できるようになります。
また、このドラマでは、被害者の周囲の人が、被害をなかったことにしない、おかしいことに黙らない、被害者に寄り添うという姿勢が描かれており、被害者の周囲がどうあるべきか? を考えさせられます。被害者にどこまでも誠実であろうとしたり、何があっても味方という姿勢を貫き、時に危険を省みず力になろうとする人たちがいることは、被害者が理不尽な目に遭い、加害者がのさばる現実の中で、唯一の、そしてとても強い光に感じられます。
傍観をやめた「男性たちの連帯」
性暴力を扱う作品で、女性が被害者に連帯するのは描かれることがあると思います。『SHUT UP』では、男性たちの行動もとても印象的です。
悠馬や彩の友達であり、サークルの運営メンバーである榎本伊月(野村康太)は、知らなかった、では終わらせられないと、自分の周囲で起きたことと向き合うことを決意。傍観していたことを悔いて、由希たちに協力することになります。そんな伊月は、自分のしたことを認めない悠馬の腕を掴み、言うのです。「一生そうやって生きていくの? 絶対、逃げちゃダメなことだよ」。
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