時代の潮目、二つのドラマに思うこと

ドラマ「おっパン」はなぜアップデートが必要なのかを教えてくれる、「自分と違う人間を諦めない」ドラマだった_img0
写真:Shutterstock

時代は令和。コンプラ重視やハラスメント対策、ジェンダー平等、多様性の尊重が求められるようになり、時代は大きく変化しました。セクシュアルマイノリティがその存在を認知されず、認知されても偏見の目に晒され、差別されてきた部分がありましたが、多様性を尊重する動きが生まれ、マイノリティを差別する表現は見直されるようになってきました。

パワハラやセクハラはダメという共通理解が生まれ、それを放置する企業には厳しい目が向けられるようになりました。その中で、時代の変化に戸惑う人も少なくないのが現状です。今、社会は大きな潮目にあります。

昭和と令和の違い、世代間ギャップが描かれた今クール放送されている二つのドラマ、『不適切にもほどがある!』(TBS系)と『おっさんのパンツがなんだっていいじゃないか!』(フジテレビ系、練馬ジムさん原作)。二つの作品を見て率直に感じた、時代の変化の捉え方や世代間ギャップとの向き合い方について書きたいと思います。今回は、主に「おっぱん」について。

前回記事「『不適切にもほどがある!』は本当に不適切なまま終わってしまうのか? 昭和の描写にドン引くも、どんでん返しに期待したい理由」>>

 


“コンプラガチガチ”どころか、今も“コンプラガバガバ”

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『不適切にもほどがある!』(TBS系)では、令和を生きる人のセリフにもこんなものがあります。
「コンプラ無視だから小川さんの言葉が刺さるんですよ」
「コンプラに染まり切った現代人にはね」
ドラマの紹介文でも、「コンプラで縛られた令和」という表現が出てきます。このドラマでは、現代は行きすぎたコンプラに毒されている、みたいな描かれ方をされるんです(前回記事で触れたように、もちろんカリカチュアライズされている部分もあるのだと思います)。でも、よく考えてほしいのです。現代人は本当にコンプラに染まり切っているんでしょうか? そもそもコンプラとは何かを改めて調べてみると、

コンプライアンスとは、元の「法令遵守」という意味から派生し、現在では「企業倫理や社会規範に従うこと」という広い意味で使われている言葉です。
               ——「マネーフォワード クラウド契約」より

そう、元々はコンプラとは「法令遵守」という意味。偽装や不正を行わないといった法令遵守はもちろん、広義では長時間労働をさせない、ハラスメントへの対応も含め、倫理的、道義的に誤ったことをしない、ということです。

連日様々な企業の不正や深刻なハラスメントなどが報道されており、脆弱なガバナンスが露呈することばかりですが、それを見ても本当に現代はコンプラに染まっているといえるのでしょうか? “コンプラガチガチ”どころか、“コンプラガバガバ”が正しい現状認識ではないでしょうか。