被災した後にいかに早く日常に戻れるか、それが重要です 写真:Shutterstock

地震や自然災害が増えるなか、「防災」のトレンドは時代とともに変化し、進化しています。

甚大化する災害に対して、これからの私たちに必要とされるのは「災害レジリエンス(回復力)」。

防災のプロに、「防災トレンド最前線」を踏まえ、私たちに必要なことを伺いました。

旭化成ホームズ くらしノベーション研究所
一級建築士 山田 恭司さん
専門テーマは共働き、リフォーム、防犯、防災

「地震頻発...備えたいけど防災知識も古くなる!?「大事なのはレジリエンス(回復)力」!プロに聞く防災トレンド最前線【前編】」>>

 


あなたの住んでいる「土地」「家」「部屋」を見てみよう


被災した後に、いかに日常生活に早く戻れるか。

昔に比べ、頻度も増え、被害も甚大化する自然災害に対して必要なのは、「災害レジリエンス(回復力)」だと旭化成ホームズくらしノベーション研究所の山田恭司さんはいいます。

そのために欠かせないのが、「防災」「減災」「復旧」の3つの視点。これらには、「土地」「家」「部屋」が大きく関わってきます。

地震時に予想されるリスク(提供:くらしノベーション研究所)

まずは、土地。能登半島では4mも地面が隆起したり、過去の地震では埋め立て地で液状化が起こったり……と、もはや人間の力ではどうすることもできません。

だからこそ、発災した場合、自宅周辺ではどういった被害が起こり得るか事前に知っておくことがとても大切です。

「土地については、国や各自治体が出しているハザードマップをチェックしてみてください。
国土交通省の『重ねるハザードマップ』では、地域の絞り込みが可能で、敷地レベルで見ることができます」(山田さん)

「重ねるハザードマップ」で講談社周辺(東京都文京区音羽)を「土砂災害」で調べたところ、特別警戒区域がオレンジ色で、警戒区域が黄色で表示されました

講談社のある東京都文京区は、比較的地盤が固いと思っていましたが、会社の近所にオレンジや黄色がチラホラ。

「地盤が砂地で水位が高いと液状化しやすくなりますし、地盤が柔らかいと建物の根元が揺れやすくなります。建物の耐震強度だけではなく、地盤の影響は大きいです」(山田さん)

これから家を建てたり買ったりする人は、土地選びからスタートできますが、そうではない人がほとんど。ひとまず、今住んでいる場所の地盤を知っていると、被害想定を立てやすくなり、対策もより具体的になります。