10歳で子役デビューした加藤諒さんは、子どもながらに、テレビに出ると優しくなる周囲の大人たちに違和感を抱くことがあったといいます。先生から目を付けられ、同級生からはいじめられた学生時代に、ダンスが辛い日々から救ってくれ、自分の居場所はエンタメの世界しかないと思ったそう。そんな幼少期を過ごした加藤さんは、救いがない展開の作品に惹かれるそうで……。

「モヤっと終わるほうがむしろ世の中のリアル」加藤諒が本物より本物っぽいものや人に惹かれる理由_img0
 

加藤諒
静岡県出身。10歳で子役デビュー。趣味は映画鑑賞、食品サンプル作り。芸能界一の食品サンプル好きで、オリジナルソング「SHOKU☆HIN☆SAMPLE」をリリース。特技はダンス。ど派手過ぎる私服で有名。舞台・映画「パタリロ!」主演、「翔んで埼玉」シリーズ下川信男役、ミュージカル「スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師」 トバイアス役など話題作に多数出演。
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世の中はハッピーエンドが溢れている


ー​ー映画好きの加藤さんですが、中でも『ダンサー・イン・ザ・ダーク』という作品が好きだそうですね。救いがない鬱展開の映画として有名ですが、今観ている世界が現実だと錯覚するくらい、世界観にのめり込ませてくれるような映画が好きとお聞きしました。

加藤諒さん(以下、加藤):「ハッピーエンドだけじゃないよね、この世の中」ってすごく僕は思ってて。ハッピーエンドの作品がこの世の中に溢れてると思うんですけど、ハッピーエンドの作品を観ると、この世の中ってそんなにうまくいく? って思っちゃうんです。綺麗ごとで終わるのが、すごくモヤっとしちゃうタイプなんですよね。でもディズニーは好き。あれはもう、徹底的にファンタジーなので。

ー​ー子どもの頃から大人の汚い部分を見たりとか、人生に対して、ある意味悲観的にならざるを得なかった加藤さんだから、人生はそんなに生易しいものじゃないっていうのがわかっているんでしょうね。救いがない鬱展開映画って言うけど、現実ってそういうことがいくらでもありますよね。

加藤:そうなんです。だからドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション』(フジテレビ系)とかめっちゃ好きなんですよ。そういうのを観て、こういう人生もあるんだなって考えたりします。

ー​ー最近観てよかったエンタメ作品はありますか?

加藤:僕も出演している『スウィーニー・トッド』は舞台版と映画版でエンディングが違うんですけど、最後モヤッとして終わるんですよね。救いがない展開で、演じていても、観ていても、(原作の)ソンドハイムってすごいなって思いました。

ー​ー加藤さんにとって、美談で終わらせないことが大事なんですね。

加藤:あと、この間観た、『落下の解剖学』っていう映画があるんですけど、これも終わり方がすっきりしないんですよね。お芝居もみんなすごくうまかったですし、生々しかったです。事件の裁判をずっと見てる感じなんですけど、犯人がわからないまま終わるんです。でも、そんな事件って現実にいっぱいあるんだろうなって思います。

ー​ー確かに、現実は単純明快ではないですよね。