天才ほど努力家


ー​ー「今観ている世界が現実だと錯覚するくらい、世界観にのめり込ませてくれる」という点で、この俳優さんの演技はすごい、と思った方はいますか?

加藤:舞台『スウィーニー・トッド』でご一緒している大竹しのぶさんです。しのぶさんを見て、天才こそ努力してるなっていうのを感じました。パブリックイメージでは、天才って感性とか感覚で、その場でひょいっとやってしまうと思われるかもしれませんが、実際はその裏でめちゃくちゃ泥臭い努力をしていらっしゃる。

しのぶさんって、“憑依型”って言われるじゃないですか。でも、そう言われるまでの過程で、誰よりも努力するんですよ。ここまで努力して、憑依型と呼ばれるくらい役に馴染んでいくんだなっていうのを目の当たりにして、本当にびっくりしました。一緒にお芝居していても、目からの情報量がすごい。ふって見たときの、動揺するお芝居とか、嘘をついてるときの表情とか、うわああって鳥肌立つくらいすごくて。

今まで、役者として自分がどう大成していきたいのかとか、そういうのってあんまり明確なものがなかったんです。でも、やっぱりしのぶさんや市村正親さんを見て、もっといろんな作品をやりたい、もっともっとやりたいっていう役者としての欲がすごく出てきました。

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やっぱり、この世界って年をとるにつれてってふるいにかけられちゃう。その中でも第一線で活躍されてる方って、若いときからすごく苦労をして、僕たちよりも遥かに厳しいところを通ってこられているんです。そういう方たちだからこそ、すごく努力家なんだろうなって思いますね。あと、そういう方って、すごく優しいです。

 

しのぶさんが演じる『スウィーニー・トッド』のミセス・ラヴェットさんっていう役は、悪いことを企てるんですけど、とても愛情深い人です。しのぶさんも、大女優なのに、ほんっとうに優しく接してくださったり、気を遣ってくださって、いっつも大丈夫? って心配してくださる。舞台上でも、その優しさが芝居に出てると思います。一緒にお芝居しててすごく楽しいです。