――佐野さんの作品の魅力はどんなところでしょうか?
山本さん:『100万回生きたねこ』などは、わりとラフにぱぱっと描いている印象ですよね。画面がいつもふわふわ動いていて、次の展開にすぐ結びつけていけるような空気感がありますよね。
佐野さんは自分で物語もつくって、絵も描く方。絵本『新装版 ぺこぺこ』でも、やさしい言葉なんだけれど、人の声が聞こえてくるようです。言葉のリズムに乗って物語が展開していく。その両方がうまく行き交っている絵なんですね。しゃべり言葉のリズムを利用して、絵がお話を始めるという感じですね。
――『新装版 ぺこぺこ』のどんなところがお好きですか。
山本さん:絵の中が動いて動いて、絵が止まっていないところ。微風の場合もあるし、強風が吹いている場合もあるけれど、つねに動いてみえるところが好きですね。それからなんといってもユーモアがあります。
画面が揺れてユーモアを感じて、おまけに肉声が心に漂ってくる。身近に彼女を感じとることができる。絵と文章に体温がある、そこが佐野さんの作品のよいところだと思います。
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