写真:AP/アフロ

夜更けに突然スマホの画面に通知された推しのプライベート感満載の配信を楽しんだり、遠い国で開催されたライブに自宅で世界中のファンと一緒に参加したり、限定グッズを購入したり。スマホのアプリで日々の推し活が大充実! 誰かのファン、特にK-POPのファンであれば、こんな体験がきっとあるはず。

数年前だったらありえなかった、こんな「推し活の夢」を実現させたプラットフォームが「Weverse」です。世界245の国と地域をカバーし、累計ダウンロード数は1億以上。運営しているのは、BTSやSEVENTEEN、NewJeansなどのアーティストを擁するHYBEです。「グローバールスーパーファンのためのプラットフォーム」というコンセプトを掲げるWeverseでは、アーティストが時に驚くほど赤裸々に気持ちや姿をさらけだすことも。WEVERSE JAPAN ジェネラルマネージャーのムン・ジスさんに個別インタビュー。前編では、「最強アプリ」誕生の背景について聞きました。

HYBE JAPAN内会議室にて取材。会議室の壁にはHYBEのミッション「WE BELIVE IN MUSIC」が!

WEVERSE JAPAN ムン・ジス ジェネラルマネージャー
韓国の大手オンラインゲーム企業NEOWIZ Corporationに入社後、B2B事業の統括や子会社の代表、そして日本事業の統括などに従事。2018年から2022年までは韓国NEOWIZの代表取締役を務めた。その後、NEOWIZの完全子会社となった株式会社ゲームオンの代表取締役に就任し日本事業を統括しながら韓国NEOWIZのCFOを兼任。2023年9月にWEVERSE JAPANのGMに就任。ソウル大学経営学部卒、ソウル大学大学院修了(経営学修士)。

 

 


ファンにとっても便利になり、アーティストもファンの声を聞くこともできる。そんなサービスが絶対必要だという思いが原点


――Weverseが誕生した経緯について伺います。Weverseがローンチしたのは、2019年6月。現在は約130組のアーティストが参加していますが、最初はBTSだけでした。BTSが世界で成功した理由のひとつにSNSの活用が挙げられていますが、それがヒントになったのでしょうか。

画像提供/WEVERSE COMPANY

ムン・ジスGM(以下、ムン):BTSがデジタルを活用して世界中のファンとコミュニケーションを取ってきたことは事実だと思います。ただ、Weverseがつくられた決定的なきっかけはアーティストのコンサートの際に、公式商品を買うために、3時間、4時間ずっと並んでいるファンを見て、なんとかしてファンたちの不便を無くすことはできないかと思ったのです。

もう一つ大事な理由は、アーティスト側からの「ファンの声を聞きたい」という気持ちです。ファンは提供されるコンテンツを楽しみ、公式商品も買っている一方で、アーティストがファンに関する情報を得るのは簡単ではありませんでした。SNSがいろいろあってファンの声がバラバラに届くし、データとして拾うのも難しい。そこで、グローバルなファンも含めて皆が気軽に参加し、コミュニケーションを取れるアプリを作ろうということになったのです。ファンにとっても便利になり、アーティストもファンの声を聞くこともできる。そんなサービスが絶対必要だという思いが原点でした。

――なるほど。たしかに2019年の夏に日本で開催されたBTSのコンサートに行ったとき、グッズを買うための列に数時間並んで結局買えなかったという経験がありました。ファンがグッズを買いやすくなったのですね。また、アーティストがファンの声を聞きたいというお話がありましたが、Weverseのコンテンツには、アーティストと文字で会話する「フィード」や、映像でリアルタイムでコミュニケーションをする「ライブ」など、無料のコンテンツも多いですよね。

2019年夏に開催されたBTSのコンサートにて、グッズ購入のため何時間も並ぶARMYの長蛇の列。結局グッズを買えずじまいでした……。(写真提供/桑畑優香さん)

ムン:はい。ファンが何を望んでいるのかを知るために、幅広いファンの意見をヒアリングしたいので、最初はアーティストとのコミュニケーションが取れるもの、メディアからの情報をまとめてあげるコンテンツからアプローチが始まったのです。最近は、グループの中の各メンバーのファンのために、個別のメンバーの投稿をまとめたりもしています。

 
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