2月23日に公開された映画『マッチング』。累計動員数65万人・興行収入9億円を突破し、原作なしのオリジナル映画としては異例の快挙を果たしています。そんな本作の見どころを、ネタバレありであらためて振り返りたいと思います。

※この記事は、すでに映画を観た人向けの【ネタバレあり】の記事です。まだ観ていない方、ネタバレを避けたい方はこちらのネタバレなし記事をご覧ください。

【ネタバレなし】観るともう一度観たくなる!映画『マッチング』がストーリーも演技もとにかくすごい>>
 

公開前の予告では、とにかく佐久間大介演じる吐夢のヤンデレストーカーっぷりが注目と期待を集めていました。確かに吐夢は期待どおり、いやそれ以上に狂っていましたが、なんとやべえやつは彼だけではないのです。観るたびに「やばいやつ何人出てくるんだよこの映画……」とツッコミを入れたくなります。そんなわけで(?)やべえやつらについて振り返りましょう。
 

 


エントリーNo.1 永山吐夢(佐久間大介)

©2024『マッチング』製作委員会

主人公・輪花(土屋太鳳)との初デートでの吐夢は、服装も言動も悪い意味で衝撃的でした。ゴム長靴を履き、暗がりから出てきて挨拶もせず「僕は不運な星のもとに生まれてきたんです」と初対面の相手には重すぎる身の上話をしはじめ(自分語り多めなのはよくないぞ)、さらに雌雄同体のクリオネを見ながら「僕と貴方も前世では一つの身体を共有していたのかもしれません」「率直に言って、僕と貴方は運命で繋がっています」などと言い出す始末。さすがに気持ち悪い、何に対して率直なんだ……いくら演じているのが佐久間大介でも引いてしまいます。あと「はい」の言い方がちょっとキモい。

©2024『マッチング』製作委員会

さらに、突然教えていない家にやってきて家の外から話しかけてくるのは怖すぎるのでやめてほしい。内田英治監督からボソボソ小さい声でしゃべるよう指導があり、実際、土屋太鳳には話している内容が聞こえていないシーンも多かったというエピソードにはちょっと笑ってしまいます。

普段はあんなに明るいのにここまで陰の雰囲気を纏える佐久間くん、すごいです。本人が元”陰キャ”であることは度々話題に出ており、ある程度彼を応援している方はご存知だと思います。そういった過去も活かされた、彼にしかできなかった、彼がやるべき役だったと思います。そう、率直に言って運命。

序盤の吐夢は暗いところや陰になっているところにいることが多く、中盤からの、吐夢のやばいだけではない一面が見えてくるシーンでは光を浴びて明るいところにいます。同じ人でも光が当たるところにいるか、陰になるところにいるかで変わるのかもしれないと感じました。役の話ではあるものの、佐久間くんが今光の当たるところに存在してくれてよかった、ということも同時に思いました。

この後ご紹介する人たちに比べ、やっていることはおかしいけれど、一度も感情をぶつけるシーンがないのはある意味いちばん怖いかもしれません。ただ、ほぼ無表情だけどよく見ると口角や目の感じでちょっと喜んでるとか怒ってるとかわかるのも面白いです。彼の育った環境を知ると感情表現がとぼしいのも仕方がない気がしてくるし、間違いなくやばめなストーカーだけれどどこか憎めない、むしろ愛おしくなってくるキャラクターです。