信頼できるワケ③「孤独を知っている」
「多くの人と関わりながら生きている」ことと矛盾するようですが、本書を読んで、堀井さんと佐藤さんの魅力の隠し味はきっとこれだと気づきました。
佐藤さんが企画するコンテンツには、一人暮らしの女性が料理する姿を紹介する『ひとりごとエプロン』、女性の一人旅を描く『スーツケース。ジャーニー』など、ひとり時間をテーマにしたものが多数。多くの社員を抱える経営者であり、妻であり母である佐藤さんですが、心の奥底には「ひとりでいたい」「孤独を肯定したい」という思いがあるといいます。
同じく家庭人であり、リスナーを「互助会メンバー」と呼ぶ「OVER THE SUN」の人気パーソナリティである堀井さん。堀井さんのインタビューを読んでいても、お母さんやご主人、友人でもあるジェーン・スーさんとの距離感は、意外にもしっかりとっていることがうかがえます。
今では、母の考え方とは私はちょっと違うなと思うこともあるけれど、だからといって別に母を責めたりもしないし、彼女はその考え方で幸せだし、それがいいと思って言っていることなので。――『かざらないひと 「私のものさし」で私らしく生きるヒント』より
「自分のものさし」を他人に対して使わず、相手の「ものさし」を尊重できる成熟した姿勢。「ひとり」でいられる強さを失わないことで、人と必要以上になれ合わず、依存し合わず、ほどよい距離感を保つことができているのだと気づきました。
堀井さんも佐藤さんも、もちろん「成功者」ではあります。でも、二人の自然な輝きは私たちの心をざわつかせたり、疲れさせたりはしないんですよね。
自分の生活や感覚を否定せずに生きること。それが少しずつでも実践できれば、いつかきっと、自分自身のことが信頼できるようになるはずです。
文 /梅津奏
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