義両親と二世帯住宅で暮らすことになった茉優さん。夫の英輔さんは多少の不満はあれども穏やか。3人の子どもに恵まれ、結婚生活は順調かと思われたとき、義父が脳梗塞で倒れてしまいます。義父の介護を担う茉優さんは、義母と夫が、体が不自由になった義父に対して非常に冷淡であることに気が付きます。そしてある日、驚くべき光景を目にしてしまい……?

「お父さんのご飯は1日2回で充分」笑顔を浮かべる義母の正体が明らかになった雪の降る夜_img0
 
取材者プロフィール
 茉優さん(仮名):40歳。関東近郊在住。26歳で結婚、二世帯住宅にて義両親と同居開始。3人のお子さんの母。
英輔さん(仮名): 48歳。小学校から私立で育ち、現在は会社員

 
 

義母と夫の「闇」
 

義母の芳江さんが、要介護になった義父・正さんの車いすを蹴って動かしているところを見てしまった茉優さん。義母の「闇」を感じて、どうしていいかわからなかったと言います。

「疑い始めると、義父の食事が日に2回になっているのも心配になり、お昼はおにぎりと卵焼きなど、食べやすく食事補助が少なくてすむものを工夫して届けるようになりました。『作りすぎちゃって』などと子どもの食事のついでという体裁で、二人分持っていきます。刺激すると『面倒だから持ってこなくていい』となるのが目に見えていましたから」

精一杯の気遣いで義両親を支える茉優さん。ところが夫の英輔さんは、そんな茉優さんの苦労を見て見ぬふりです。

ある夜、思い切ってその理由を尋ねます。すると英輔さんは「お父さんにはとても厳しくしつけられた。期待に応えられない俺に、本当に冷たかった。そしてお母さんも、俺が叱られているときも一切庇うことはなかった。理不尽に家から出ていけ、と怒鳴られたときはむしろ荷物をまとめて俺に渡してきた。どちらも心底嫌いだ。ほかにもいろいろ、茉優に言いたくないことも家のなかであった。どこの家も親子関係がいいと思って君の価値観を押し付けないでくれ」と暗い目で言ったそうです。

また、義両親には夫婦間の問題もあったようで、誰もが口を閉ざしてはいますが、義父の正さんはなにか負い目があるようでした。過去に経緯もあり冷遇されていることにじっと耐えているような気がします。

そんな状況のなかで、ますます悪いことが起こります。義父に認知症の兆候があらわれてしまったのです。