お悩み② 固いものを食べられない親の食事の準備が負担

■82歳になる父親を都内の自宅に呼び寄せて1年前から同居中。真由美さん(51歳)


真由美さん1年前から同居している父は、介護が必要な状態ではありませんが、固いものがなかなか食べられません。そのため、家族と別にメニューを考える必要があります。これでは時間がかかってしょうがないと、自治体の配食サービスも利用してみましたが、しばらくすると味に飽きてしまったようです。手軽に作る方法はないでしょうか。


渋澤:私もフルタイムで働きながら在宅で介護をしていたため、食事作りも同じ悩みがありました。高齢になると食べる機能が低下するため、食材をやわらかくしたり、とろみを付けるなどして食べやすくする工夫が必要になってきますよね。

そんなときに活用したのが圧力鍋です。週末に肉、魚、野菜を一度に出汁で煮て、柔らかくしてから食材ごとにミキサーやフードプロセッサーにかけていました。その後、製氷皿で冷凍保存して必要に応じて利用します。これらの作業は離乳食作りとあまり変わらないかもしれません。

味変にはひとり鍋の素も便利です。「味の素 鍋キューブ」や「エバラ プチっと鍋」など、ご存知の通り各社いろいろ出しているので、ぜひ活用してみてください。高齢親の食事については、こちらの記事でも紹介しています。


お悩み③ 食事中に粗相だらけの母親を手助けすべき?

■数年前から80代の母親と同居中。由香里さん(53歳)


由香里さん自宅で母を介護するようになって1年が経ちます。介護と言っても歩行や立ち上がりが不安定なだけで、食事もきちんとひとりでできる状態で、ただ最近食べこぼしが気になるようになってきました。汁物などをこぼしてしまうと、揉み洗いの手間も増えて大変だなと感じることもしばしば。自分でできることはやってもらおうと思う気持ちはありますが、パパッとやってしまった方が楽かも、とつい手を出してしまいます。ですがたまに親の人権を否定しているような気持ちにもなってしまって、これってやめた方がいいのでしょうか。


渋澤:介護の世界では、本人にできることはできる限りやってもらい、できない部分は介助しながらできるように訓練をしていくことを「自立支援介護」と言います。2016年の未来投資会議でも、「できないことをお世話するお世話型から、自分でできるようになることを助ける自立支援に介護の軸足を置くと良い」と提言されています。由香里さんの考えはこれに合っていますね。

ただ、面倒を見る側の負担やストレスが増えるのは避けたいところ。衣類への汚れが気になるようであれば、簡単に拭き取れる撥水性のある食事用エプロンを使ってみてはいかがでしょうか。大きめのタイプはカバー範囲が多いので実用的です。また、多少コストはかかりますが、使い捨てのタイプもオススメ。介護はとにかく洗濯が大変なので、便利さや手間をお金で買っていると割り切るのも大切な考えかもしれません。

いろいろなデザインの商品が出ているので好みに応じて楽しめますし、使い切りタイプも1枚10〜20円ほどと負担になるほどの金額ではありません。

高齢親の面倒を見るのは決して楽なことではありませんが、世の中には便利な商品が溢れています。子育てと同じようにこれらの商品やサービスを活用することで、効率化を図れたりストレスから解放されたりします。工夫は手抜きではありません。手軽で便利なグッズを探して、積極的に取り入れてみてはいかがでしょうか。


構成/渋澤和世
取材・文/井手朋子
イラスト/Sumi
編集/佐野倫子

 

前回記事「見守りカメラからポータブルトイレまで、高齢親の「困った!」はこれで解決!」>>

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