大事にしているのは一人ひとりが愛されるような番組にすること

「オネエキャラでないとテレビで活躍できないみたいな空気感が気になっていた」男性同士の恋愛リアリティ「ボーイフレンド」プロデューサーが語る当事者としての思い_img0
 

彼らはミントグリーン色のコーヒートラックを共に運営するというミッションが与えられ、運命共同体のような時間の中で番組は彼らの素顔にも迫っていきます。時に不穏な空気が流れたり、葛藤が渦巻いたりしますが、やり過ぎない見せ方も心地良いのです。Taikiさんの説明で納得感が増します。

「番組を始める前にNetflixの太田大さん(本作のエグゼクティブプロデューサー)から『人が集まれば、何かは絶対に起こる』って言われたんです。人間同士が向き合った時のありのままの姿を描くことに僕自身も理解し、本人たちの中で起こった出来事をリアリティショーとしてお届けするという意識で作っています。その上で、大事にしているのは一人ひとりが愛されるような番組にすること。不安な気持ちを取り除いた状態で出演してもらっています」
 

 


安心感に包まれた効果なのか、稀に見る純度の高い恋愛に発展しそうなダイとシュンの心模様は番組最大の見どころです。Taikiさんも「恋愛でキュンキュンするような場面がいくつも生まれたのは僕も本当に嬉しいです」と、語っていました。

「オネエキャラでないとテレビで活躍できないみたいな空気感が気になっていた」男性同士の恋愛リアリティ「ボーイフレンド」プロデューサーが語る当事者としての思い_img1
 

一方で、Taikiさんが最も感情移入したのは、ゲンセイが台湾の家族と自身のセクシュアリティについて交わした言葉を語る場面だったそう。

「ゲイであると、自身のセクシュアリティについて、どうしたって悩む時期がそれぞれあるんです。一番のハードルは両親にカミングアウトすることだったりするので、その気持ちがわかる分、ゲンセイがお父様から最後にもらった言葉にグッときました。その言葉はゲンセイの強さの原点にもあると思ったし、僕もカミングアウトしてから世界が変わりました。だから、なおさら号泣しちゃいました。それぞれの事情はあるけれど、言葉や気持ちが背中を押してくれて、前向きに生きることができるんだって本当に思います」

「オネエキャラでないとテレビで活躍できないみたいな空気感が気になっていた」男性同士の恋愛リアリティ「ボーイフレンド」プロデューサーが語る当事者としての思い_img2
 

彼らの物語をずっと見ていたくなるのは、「大丈夫だよ」という言葉が互いの自信になって、信頼を寄せ合う姿が確かに存在するからかもしれません。最終話を迎えた時、「10話じゃ足りない!」という気持ちにもなってしまいそうです。
 


構成/山崎 恵
 
「オネエキャラでないとテレビで活躍できないみたいな空気感が気になっていた」男性同士の恋愛リアリティ「ボーイフレンド」プロデューサーが語る当事者としての思い_img3
 

前回記事「絶対劇場で観るべき迫力のサウンドと映像美。映画『オペラ座の怪人』20周年リマスター版が凄い!」>>