世界最高峰の老年医学科で働く山田悠史医師が、脳の老化と認知症の進行を遅らせるために「本当に必要なこと」「まったく必要でないこと」を伝えます。

「塩分と認知症」刺身には醤油たっぷり、味噌汁は濃いめ、漬け物大好きなら要注意!【医師・山田悠史】_img0
 

山田 悠史
米国内科・老年医学専門医。慶應義塾大学医学部を卒業後、日本全国の総合診療科で勤務。新型コロナ専門病棟等を経て、現在は、米国ニューヨークのマウントサイナイ医科大学老年医学科で高齢者診療に従事する。フジテレビ「ライブニュースα」レギュラーコメンテーター、「NewsPicks」公式コメンテーター(プロピッカー)。カンボジアではNPO法人APSARA総合診療医学会の常務理事として活動。著書に、『最高の老後 「死ぬまで元気」を実現する5つのM』『健康の大疑問』(マガジンハウス)など。
X:@YujiY0402
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あなたはお刺身を食べるときに醤油をたっぷり使う派でしょうか。それとも、減塩醤油にして、できる限り少ない醤油でお刺身を楽しむ、「醤油最小限派」でしょうか。

醤油に限らず、日本の食文化において、塩分は欠かせない存在です。漬物、味噌汁、魚の塩焼き。米国にいる著者の私には想像するだけでヨダレが出てしまいそうな食べ物ばかりですが、こうした食事が私たちの脳に与える影響についても、改めて考えておく必要があるかもしれません。

「塩分と認知症」刺身には醤油たっぷり、味噌汁は濃いめ、漬け物大好きなら要注意!【医師・山田悠史】_img1
写真:Shutterstock

実際、日本人の塩分摂取量は世界的に見ても多い傾向が知られています。塩分の1日あたりの平均摂取量は、男性で10g、女性で9gを超え、世界保健機関(WHO)が推奨する量(1日5g未満)の2倍ほど摂取しています(参考文献1)。その中で、さらに醤油が好き、漬物が好きとなれば、ただでさえ多い日本人の塩分摂取量の平均点をさらに上回っている可能性があります。

そして、この塩分の過剰摂取が、高血圧の発症において重要な役割を果たしていることが痛すぎるほど分かっているのです。すでに100を超える数の研究が、ナトリウム(すなわち塩分)の摂取量と血圧の関係を検証していて、ナトリウム摂取量と血圧の上昇との間に直接的な関係があることを強く示唆しています(参考文献2,3)。もうこれはほとんど逃れられない事実と言ってもいいでしょう。

さらに、このことは別の角度からも裏付けされています。食事中の塩分摂取量を減らすことで、高血圧患者だけでなく、血圧が正常の人でも血圧が下がることが繰り返し確認されています。この効果は、子供から高齢者まで、幅広い年齢層で確認されているので(参考文献4,5)、これを読んでいるあなたが今何歳でも当てはまることになりそうです。