夏休みが終わり、多くの小中学校で通常授業が始まりました。夏休みといえば大量の宿題というのが昔の常識でしたが、最近はだいぶ様子が変わっており、夏休みの過ごし方も多様化しているようです。中には夏休みの宿題を全廃した学校もあり、一部の保護者からは歓迎する意見が出る一方、学力低下など悪影響を指摘する声もあるようです。
筆者は昭和の時代に小中学校に通っていた世代ですから、夏休みには多くの宿題が課されるのが当たり前であり、新学期直前はいつも大変だった記憶があります。夏休みの宿題は量が多いとはいえ、最初から計画的に進めていけば問題はないはずです。ところがご多分に漏れず、最初のうちは何もせずに過ごしてしまい、最後の3〜4日で慌てて全部仕上げることが常態化していました。おそらくですが、読者の皆さんの一部もそうだったのではないかと思います。
ところが最近は、宿題の量を大幅に減らしたり、自由研究のみにする、あるいは宿題を全廃するという学校も出てきているようです。宿題がなくなる、あるいは宿題の量が減らされていることの背景には、いくつかの要因があると考えられます。
1つは教員の負荷軽減です。このところ教員の負荷が大きくなり、学校という職場がブラック化しているという指摘があちこちから出ていました。夏休みの宿題がなくなれば、評価などの作業がなくなりますから、その分だけ教員の負荷は減ることでしょう。教員は無理せずに、通常の授業や指導に集中できるという仕組みです。
教員の側の理屈ではなく、子どもの自由な発想や独創性を養うなど、教育的視点での取り組みという面もあるようです。
夏休みの宿題といえば、漢字や算数のドリルなど、決まった作業を反復的に行うものが中心というのがこれまでの定番でした。すでに習っている漢字を何度も書かせたり、計算問題を繰り返させることの背景には、夏休みになっても生活リズムが崩れないよう、規則正しい生活を送らせる狙いがあったのかもしれません。
それはそれで良いことかもしれませんが、一方で、決まったことだけをやればよいという環境が続くと、生活に変化がなくなり、自主的に物事を考えなくなってしまいます。こうした観点から、夏休みをどう過ごすのか、児童生徒自身に考えさせるところからスタートする学校も増えているようです。
しかしながら、夏休みの宿題が減ることに対しては歓迎の声ばかりではありません。一部からは基礎学力が低下するのではないか、児童生徒間で学力差が付くのではないか、など懸念の声も上がっているようです。
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