まるで映画のワンシーンのような華麗なパレード、豪華な宮殿での晩餐会……。６月22日から29日にかけて、天皇陛下と雅子さまは国賓として英国に公式訪問をされました。お二人は英国王室や国民からのあたたかい歓迎を受け、式典や晩餐会へのご出席をはじめ、さまざまな施設に足を運び友好親善を深められました。適応障害から回復途上の雅子さまは、訪英を通して、公式行事を中心に予定されていたスケジュールをすべてこなされました。雅子さまの笑顔からは、手ごたえと自信が感じられます。これからの友好親善の海外ご訪問はどのようなスタイルになるのでしょう。皇室を長く担当し取材を重ねてきた毎日新聞客員編集委員でジャーナリストの大久保和夫さんに伺いました。
お二人揃っての訪英に意味がある
――英国までの長旅で雅子さまのご体調が心配でしたが、ロンドン北部の空港に無事到着されて、飛行機からお二人が笑顔でお出ましになったお姿にちょっとホッとしました。水色と白のお二人のリンクコーデが、とっても爽やかでした。
大久保さん：フライト時間も入れると８日間のご日程でした。22日に出発して、15時間のフライト。そして、日本と英国は８時間の時差があるうえに、ご出発前もご準備でかなりお忙しかったんです。到着されたときには、きっとお疲れだったでしょう。
公式行事は６月25日から27日までの3日間ですから、その前の2日間のスケジュールは天皇陛下がお一人で出席され、雅子さまは重要な公式行事に備えてお休みされるという選択をされたのだと思います。
ウィリアム皇太子が宿舎にお迎えに来られてから、歓迎式典、パレード、ウェストミンスター寺院訪問、バッキンガム宮殿での晩餐会などへのご出席を経て、チャールズ国王とカミラ王妃とお別れのご挨拶をするまでが公式行事です。国賓待遇の公式行事は、どこの国でもおおむね３日間。この公式行事に出席するのが今回の雅子さまの訪英の一番重要なことであり、最大の目標とされていました。
本来なら2020年に訪英するはずだったのが、新型コロナの感染拡大によって行けなくなりました。しかも、ご招待くださったエリザベス女王は亡くなられてしまい、ようやく5年ぶりに国賓として訪問できるようになったわけで、雅子さまは今回の訪英を非常に重要視されていたと思います。
今回は主治医も同行して万全を期した体制をとられていました。同じホテルに主治医がいるということが、心の安心につながったと思いますね。予定していた行事にすべてきちんとこなされた、すばらしいご訪問になりました。さらに、ともに思い出の地であるオックスフォード大学にも、お二人で訪問されましたね。
――絶対に失敗したくない、必ず成功させなければならないご訪問。ご病気のことがあるので、はじめから無理をされないスケジュールを組まれたのですね。
大久保さん：そうなんです。お二人で英国に行かれることに意味があったのですから。結果的には、十分友好親善の務めを果たされたと思います。
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