くよくよ母の苦悩


「さあ勉強しないと~!」と言いながら、じゃあ私だったらできる? とずっと自問自答していました。8時間仕事が終わったあと、さらに集中して原稿を書ける? 無理。それなのに、まだ12歳の子に強制するのはどうなんだろう。

この悩みは、私のなかで最後までなくなることはありませんでした。

もっとうまくやる方法があったのかなと、今でも時々考えます。勉強の面白さを小さい頃に教えてあげられたら、もうすこし楽だったかも。身の回りの自然や現象、家事、買い物、運動、公園遊び。そういうものをもっと体感を伴ってたくさん経験していれば、受験勉強は取り組みやすかったんだろうと感じました。

――自分なりに、一生懸命やってたんだけどなあ。苦手な公園も、なんとかママ友を作って毎日行ったし、旅先では地図を見たり、セミの羽化を夜見に行ったり。でも、旅行先は私が行きたいからリゾートや温泉にしちゃって、本当はキャンプとか、山登りとか、もっと工夫するべきだったなあ。そうしたら、理科の生物や気象の単元でこんなに苦労しなかったかも? 社会の地理だって、自然にもっと身についていたはず。

4科目すべてを「受験勉強」としてやるのは小学生にはハードです。勝負はいかに勉強と意識させずに、生活に基づいた実感や知識を幼少期に身につけられるかだったなと思いました。

小さい頃から受験を見据えて逆算することはしたくない。私はどこか早期教育と呼ばれるものに懐疑的でした。でも「早期教育」ってそんな窮屈なものじゃないんだと今はわかりました。

生活に根差した実感がある子とない子は吸収力に差がでます。もっともっと自然に親しませてあげればよかった。

すっかり反省禄になっていますが(笑)、これからお子さんの中学受験を考えていらっしゃる方に、やってよかったなと思ったシーンもたくさんあったことをお伝えしたいと思います。

 


これほど成長する数年間を知らない

教育ライターの中学受験伴走記③「受験を勧めるかと言われれば、正直...」わが子の受験を終えて感じたことを告白_img0
 

まず、身も蓋もありませんが、学力は非常にあがりました。6年生の2月に入試が控えているとなると、カリキュラムのすごさもあって、ぐんぐん知識が積みあがっていきます。親もあっという間に抜いていく。

この前まで赤ちゃんだったのに、今は私がまったく解けない問題に向き合い、汗を浮かべながら解いている。結構すごいことだと思いませんか。なんせ6年前には「スイミー」の音読もおぼつかなかったのに!(うちだけ……?)、今では外山滋比古を読んでいます。毎日の積み重ねを、これほど目の当たりにできることは、私の人生ではもうないかもしれません。

頑張ってるなあ、と思うとできることはしてあげなくちゃ、という気になります。

そして本気で頑張り、ときに悔しい思いをすることで、子どもは一気に大人になります。