「授業中、じっと座っていられない」発達が気になる小学生の悩みには理由がある!集中できる環境の作り方&サポートグッズ2選_img0
 

来春に我が子の就学を控え「うちの子、小学校でやっていける?」と不安に思う親御さんや、実際に小学生になって悩んでいる親御さんも多いと思います。学校生活での代表的な困りごと「じっと座っていられない」について、自身も発達障害(自閉スペクトラム症&ADHD)がある小学校6年生を子育て中の、モンテッソーリ教師・りっきーさんに、著書『感覚統合✕モンテッソーリの視点で伸びる! 発達が気になる小学生の学校生活&おうち学習ガイド』から、なぜ子どもは困っているのか、そして家庭でできるサポートについて教えてもらいました。


第1回「「うちの子、小学校でやっていける?」発達が気になる子の就学準備は早めが肝心!先輩ママが教える『家庭でできる練習3つ』」>>
 

 


子どものつまずきの背景にある「感覚統合」の視点
 

なぜ注意しても気が散って立ち歩いたり、じっと座っていられなかったりする子がいるのでしょうか? 実は、その背景には「感覚統合上のつまずき」が隠れているかもしれません。 

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感覚にはよく知られた五感(視覚・聴覚・味覚・嗅覚・触覚)の他、触覚(触覚には2つの働きがあるので両方に入ります)・平衡感覚・固有感覚の3つの「基礎感覚」があります。五感は自覚しやすい感覚ですが、基礎感覚はほとんど無意識に使っている感覚です。そして私たちは日常生活で、特に意識していなくても、同時に複数の感覚を使いながらさまざまな動作をこなしています。

発達は積み上げ式のピラミッドのようなもの。土台には「感覚」があり、頂点には「学習」があります。子どもたちが問題なく学習に取り組めるのは、土台部分の感覚や姿勢などの発達がしっかり育まれ、上まで積み上がっているからです。特に、触覚・平衡感覚・固有感覚の3つの基礎感覚につまずきがあると、一見学習に適応しているように見えてもピラミッドはグラグラの状態で、情緒面・対人面でも課題やトラブルを抱えることがあります。

少し難しく思えるかもしれませんが、この3つの基礎感覚を土台に、「脳に流れ込む感覚情報を交通整理する働き」である感覚統合の考え方を知識として頭に入れておくと、子どものことが理解しやすくなるはずです。これは、私が常日頃思っていることですが、子どもの発達のことを知っていると知っていないとでは、見える世界が全く違います。
 

座っているだけで120% 頑張っている子どもたち

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小学校に入ると始まる、45分×数コマの授業。我が子は45分間座れるの? 気が散って立ち歩いたりしないかな? と心配になる方も多いでしょう。 

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椅子に座り続けて授業を聞くには、平衡感覚や固有感覚をはじめとした感覚面での発達が必要。しかし、感覚刺激を受け止めるコップの大きさには個人差があります。座っていられない、気が散ってしまう子どもたちは、コップの大きさに対して入ってくる感覚情報の量が多すぎる、またはもっと欲しいのに不足している可能性があります。掲示物や外の音、光、クラスメイトの動きなど、少しの刺激が気になる場合もあれば、逆に刺激を欲して、「立ち歩く」「周りの子にちょっかいを出す」「椅子をギコギコ揺らして自己刺激を入れる」といった姿が見られることも。

一見するとなぜ? と思ってしまいますが、実はそのような行動をとる子どもたちは、じっと座ること自体に多大なエネルギーを必要とするので、授業の内容に注意を向け続けることが難しいのです。集中状態を保つことの難しさから、無意識に自己刺激を入れて、なんとかその場に留まろうとする姿も、大人から見ると「困った子」と捉えられがち。でも周囲から見ると「困った子」は、「困っている子」なんです。

 
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