無気力に対処する

不調を防ぐには「無気力に対処すること」。『暮しの手帖』元編集長が、50歳を過ぎて実践している「あたらしいがんばり方」を紹介_img0
 

ああ、また“あいつ”がやってきた。こればかりは避けられないので、観念していつものルーティンで対処するしかないなぁ。

あいつとは、「無気力」のことです。

ある程度の年齢を重ねた人はたいてい、不定期に向き合うことになる相手だと思います。ふつうに過ごしているだけなのに、前ぶれもなく突然やってきて、行動と思考の意欲をふーっと消していく嵐みたいなもの。頭の中にバグができて、思考が停まってしまうイメージにも近いかもしれません。
 

 


無気力がやってきたら、もう降参。どうしようもないのだけれど、「いつかは過ぎ去る」ということはわかっているから、そのときまでをどうやり過ごすかが唯一の対策になるわけです。

僕も自分なりの「やり過ごし方」を身につけました。がんばらなくてもかんたんにできる単純作業を、この時間を使って淡々と片づけるという方法です。

領収書を分けてクリップにはさむ。財布の中を整理する。簡単な料理をつくってみる。引き出し一つ分だけ片づけてみる。

コツは、とにかく作業のハードルを下げること。どんなに出力の低い状態でも、淡々とこなすだけでできる作業を選ぶことが大事です。そして、小さな達成感をちょっとずつ積み上げていけば、気持ちがだんだんと上向きに変わっていきます。

もう一つの方法は、今日やることをリストアップして書き出して、取り組む順番まで決めること。つまり、「計画」です。

無気力のときにはいつものように頭が働かないので、「今、何をしなきゃいけないんだっけ」と混乱しがち。だから、その都度考えなくてもいいように、「TO DO リスト」を書き出しておくと気が楽です。「むずかしく考えず、ただ計画にそって動けばいいのだ」と自分に言い聞かせて、リストに書いてあることに従うだけ。

気力がなくても、ものごとが前に進むから、無気力がやってきても怖くなくなります。あらがわず、とり乱さずに、淡々と対処する。自分に合った無気力対策を、一つは見つけておくと安心です。