現在、「週刊モーニング」で1巻の続きとなる第2部を連載中ですが、第2部では描かれる世界がより広がっていくと話す鳥飼さん。
「中絶を描くにあたって、いろいろなことを調べたのですが、やはり法律がからんでくるんですね。法律では中絶は犯罪になりうるのだけど、特例としてある条件下では中絶をしてもいいと定められています。これって実はすごく危うい状態で、場合によっては女性が犯罪者になり得るということなんですよね。
このこと以外でも、私たちの身の回りにはさまざまな法律が定められていて、女性の自由が奪われていることもあります。そのことに気づいたら、物語に法律や政治が絡んでくることになりました。僭越ではあるけど、この作品で何かに気づかされるきっかけになればいいなと思っています」
鳥飼さんらしい、ハイテンションで破天荒なキャラクターが巻き起こすストーリー展開は、読者をも惹きつけ、どこにどう転がっていくかがわからないところが魅力です。一方で、鳥飼さんがこの作品に込めた思いの一つに、「一生懸命生きている人が報われますように」という、実にささやかな願いがあります。
「私はすごくミスをする人間だけれども、ミスの先にも人生が続いていきます。私はあまり後悔をしないタイプで、その時選べる最善のことをやってきたつもりで、その結果は堂々と受け入れたいと思っています。でも、今の社会は失敗が許されず、それを恐れるがあまりに生きづらい構図になっています。ミスった人のロールモデルがないんです。でも、人は誰しも細かいミスや失敗、不調があるのだから、そういうのを許容していくことで結果的には楽しく生きていける秘訣なんじゃないかと個人的に思うので、そんな物語を作っていければと思っています」
©講談社/鳥飼茜
撮影/河内彩
編集・取材・文/吉川明子
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