「演劇」を活用し、さまざまなコミュニケーションで教育活動を行ってきた劇作家で演出家の平田オリザさん。大学入試改革にも携わっている平田さんは、演劇を学ぶ初の国公立大として、2021年度に開校する予定の国際観光芸術専門職大学(仮称)の学長就任も決まっています。連載「22世紀を見る君たちへ」では、これまで平田さんが「教育」について考え、まとめたものをこれから約一年にわたってお届けします。
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未来の大学入試【2】に引き続き、四国学院大学の新制度入試について。
まず復習も兼ねて、他の年度の問題も紹介する。
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あなたはいま、四国学院大学の二年生です。
高校時代に短期留学をしていた韓国から、その時の友人男女四名が、香川県に旅行に来ました。
友人たちを楽しませるために、3泊4日の旅行計画を作りなさい。
到着も出発も高松空港です。
移動は、基本的に公共交通機関とします。レンタカーは使えませんが、レンタサイクルは可とします。
季節や日程は自由に決めていいです。
宿泊、食事など、できる限り細かい計画を立ててください。
最後に、10分以内で、計画のプレゼンテーションをしてもらいます。プレゼンテーションの際は、役割分担をして全員が何らかの発言をするようにしてください。
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2040年を目処に、四国に新幹線を通すことになりました。
しかし、その経済効果を疑問視する声もあります。
新幹線誘致賛成派、反対派、条件付き賛成派、フル規格派、ミニ新幹線派、無関心派などに分かれてディスカッションドラマ(討論劇)を創りなさい。
ディスカッションドラマなので、ディスカッションをして自分の意見を通すことが目的ではありません。各自が役割を分担して、どうすれば議論が盛り上がるかを考えて、最後に、10分前後のディスカッションドラマを創っていただきます。
〈参考〉
それぞれの主張に、一長一短があればあるほど議論は盛り上がります。たとえば新幹線は利便性が高いですが、地元の費用負担が大きく、ストロー効果も懸念されます。
まず、役割分担を全員で考えましょう。
さらに、誰が、どの順番で、どのような発言をすれば議論が盛り上がるかを考えてください。議論がかみ合うだけが目的ではありません。わざと脱線させたり、その脱線にヒントがあったりするかもしれません。
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試験当日、7人1組×4グループが控え室に通される。ここで、簡単な説明を受けたあとに、30分ほど、アイスブレークのワークショップを受ける。グループワークに向けて雰囲気をほぐすためだが、普通の入試とは違いますよと印象づける意味合いも兼ねている。
このあとはグループごとに試験会場に案内される。
試験会場の小さな部屋には、筆記用具やホワイトボードの他、パソコンが二台置いてある。きちんと調べたわけではないが、全面検索可とした日本で最初の大学入試になったのではないかと思う。
ちなみに、2017年度入試から、お茶の水女子大では、「新フンボルト入試」と呼ばれる新しい試みが行われている。こちらは図書館等で入試を行う、やはり調べる力を問う試験である。次のページから、お茶の水女子大学のサイトからの概要の抜粋。
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