漠然と「自分は結婚に向いていないのでは?」と考えている人は少なくないはず。できれば離婚はしたくありませんから、そう感じている人は、やはり結婚には慎重になりますよね。そもそも、離婚に至りやすい性格というのはあるのでしょうか? 離婚問題専門の弁護士・原口未緒さんに伺ってみました。

青パンツさんからの質問

Q. 自分は結婚に向いていない気が……。
嫉妬しない強さを身につけるにはどうしたらいいですか?
 


婚姻経験のない44歳です。可能性は少ないものの、もしこの先縁があれば結婚したいと思っています。が、自分の性格が結婚に合っていないとつくづく感じる今日この頃です。というのは、とても嫉妬しいで、自信がないからです。例えば彼の帰りが遅かったり他の女性と仲良く話していたりすると、気になって仕方なくなり、彼に聞いたりSNSをチェックしたり、仕事にも影響してしまいそうになります。既婚の友人は、「そんなの新婚の時だけで、子供を産んだり年月が経てば旦那のことなんか気にならなくなる」と言いますが、私はいつまでも変わらないような気がします。付き合っていた彼が浮気した過去はありますが、私以外にも同じような経験のある女性はいるはずで、私が特別トラウマを持っているとは思えません。「他に夢中になることがあるといいのでは?」と言われることもありますが、子供時代から打ち込んでいる大切な芸事も持っています。どうしたら彼や旦那さんに対して少し鈍感になれるのか、自分に自信が持てるのか、しなやかで強くなれるのか。アドバイスをいただけると嬉しいです。(44歳)


弁護士 原口未緒さんの回答

A. あくまで私の印象ですが、離婚に至りやすい性格には
“嫉妬深い”と“細かい”が多い気がします。


おっしゃる通り、離婚のご相談を受けていますと、嫉妬の強い方というのはたくさんいらっしゃいます。女性だけでなく、男性も。ですから私からしますと、お悩みを読んで相談者さんが特に嫉妬心が強いとは感じませんでしたが、逆に言えば、嫉妬心が強いから婚姻関係が破綻してしまい、私のところに相談に来られている、と言えなくもないかもしれません。

 

これは、あくまで私のところに来られる方の印象ですが、離婚に至りやすい性格というのは、圧倒的に“嫉妬深い”と“細かい”が多いと感じています。“細かい”というのは、ルールを作りすぎる、というものですね。たとえば毎日昼休みに電話して相手の動向を確認するとか、家事のやり方に逐一指示をするとか。中には離婚調停中なのに、家を出て行った妻のもとに「冬ものを取りにおいで。わざわざ買うよりそのほうがお金がかからないから」と言ってくるほど、お金の管理が細かい夫もいました。こういった細かい人は、自分が正しいと信じきってやっているので話し合いでの解決が難しく、離婚に至ってしまうことが多いのです。

さてもう一つの“嫉妬深い”ですが、こちらは私がよく差し上げているアドバイスをお伝えさせていただきますね。嫉妬心というのは持って生まれた性質というより、誰かから影響を受けてコピーした行動である可能性が高いのです。多くは、それは母親からなのですが。試しに母親に、「彼の帰りが遅かったり他の女性と仲良く話していたりすると、気になって仕方なくなるんだよね」と言ってみてください。そのとき「そんなの当然よ」という返しがきたら、やはり母親の影響が大きいと言えるでしょう。ならば、母親の周りの男性はどうしているのか?ということを観察してみてください。ご両親が離婚をしていないのであれば、父親はどのように振る舞うことで母親とうまくやっているのか、そこを観察して真似てみるといいのではないでしょうか。

ご両親が離婚をしていて周囲に参考になる人がいないようでしたら、カウンセリングなどの心理療法を受けて、自分の嫉妬深さが生まれたきっかけを探られるのもオススメです。実は私も3度目の離婚をしたとき、人生に絶望感を覚えてこれをやってみたのです。私の場合はヒプノセラピーという催眠療法を受けたのですが、これは自分の内面とコミュニケーションをとりながら、自分が悩まされていることの根幹がどこにあったか深く探っていく、というものです。その結果、私の結婚が上手くいかないのは、幼少時の両親のケンカにきっかけがあったのでは? と分かったのですが、もちろん、だからといって性格が改善されるわけではありません。ただそれまでは「何でこうなるのだろう?」と出口が見えずに苦しかったのが、「子どものときのことが原因だから悩んでも仕方ないか」と納得するものが生まれ、必要以上に悩まなくはなりました。

生まれたときから嫉妬深いという人はいません。相談者さんも、どこかで嫉妬深くなる出来事が起こっているはずですから、一度そこをきちんと探られてみてください。それをしないと、次もきっとまた同じことをしてしまうと思うのです。今はカウンセリングの本や情報もたくさん出ていますし、セッションなども頻繁におこなわれています。ヒプノセラピーに限らず、自分に合いそうなものを選んで、是非一度受けられてみてください。

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PROFILE
  • 原口未緒(はらぐちみお)1975年生まれ。弁護士。学習院大学法学部卒業。2004年に弁護士登録。民事、商事、家事、刑事、倒産処理、債務整理など様々な案件を担当した後、2010年に「未緒法律事務所」を開所。夫婦、離婚案件を主に扱っている。法的な解決策を提案するだけでなく、コーチング、カウンセリング、セラピー手法を取り入れ、「心のケアもする弁護士」として人気がある。著書に『「この結婚もうムリ」と思ったら読む本 こじらせない離婚』(ダイヤモンド社)がある。自身は3度の離婚を経て、現在4度目の結婚をし、第一子をもうける。 この人の回答一覧を見る
  • 山本奈緒子(やまもとなおこ)1972年生まれ。6年間の会社員生活を経て、フリーライターに。『with』や『VOCE』といった女性誌の他、週刊誌や新聞、WEBマガジンで、インタビュー、女性の生き方、また様々な流行事象分析など、主に“読み物”と言われる分野の記事を手掛ける。 この人の回答一覧を見る
 取材・文/山本奈緒子

 

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