夫の家のお墓に入りたくない、お墓を維持するのが大変etc. 昨今増えているお墓に関する悩み。中にはお墓を別にしたくて離婚を考える人もいるようです。離婚問題を専門とする原口未緒弁護士に伺ったところ、どうやらそこまでする必要はないようです!

sayanさんからの質問

Q. 夫の親のお墓。相続したくない場合は
どうすればいい?
 


先日義母が亡くなり、夫が墓を相続することになりました。契約書にはその宗派に入信することが相続する条件となっています。無宗教のため夫も檀家にはなりたくないと言っています。私もできればその墓に入りたくないと考えており、夫の死後も墓を継承したくありません。その場合、墓じまい以外に方法はないのでしょうか? 私達には子供がおりません。(43歳)


弁護士 原口未緒さんの回答

A. 婚姻関係にあるからといって、必ずしも
同じお墓に入らないといけないわけではありません。


私は離婚専門の弁護士で、お墓に関する法律にあまり詳しいわけではないのですが……、もしかするとsayanさんは、離婚をしなければ絶対に夫と同じお墓に入らなければならない、とお考えなのではないでしょうか? お墓の相続に関しては特に法律があるわけではなく、基本的には慣習なのですね。ですからsayanさんやご主人のお気持ちが構わないのであれば、方法はいろいろとあるはずです。

 

もしお墓のあるお寺の宗派に入信したくない、というだけでしたら、宗派替えをするという手があります。「お寺の宗派に入信しなければお墓を相続できない」というのは、そのお寺が定めたものだと思うのですね。ですから、とくに入信の必要がないお寺と契約して、そこにお墓を移すというのはいかがでしょう? お墓を移すというのは心理的に抵抗を感じる方が多いかもしれませんが、法的には問題はないはずです。

そうではなく義父母と同じお墓に入りたくないということでしたら、自分だけお墓を別に建てたり、あるいは散骨してもらったりなど、別にする方法はいろいろあるかと思います。夫の籍に入ったからといって必ずしもお墓も同じにしなければならないわけではないのです。

ただsayanさんは「夫の死後もお墓を継承したくない」とおっしゃられていますから、夫や夫の両親に複雑な思いがあって、夫の家と縁じたいを切りたいと考えていらっしゃるのかもしれません。配偶者が亡くなった後は正式な離婚はできませんが、姻族関係終了届を提出することで、相手の家と縁を切ることは可能です。最近よく耳にする「死後離婚」というものですね。これによって夫側の家族とは一切関係がなくなりますし、お墓を管理する義務からも逃れられます。もちろんそこまでしなくとも、墓じまいをされても良いかと思いますよ。最近はお寺に管理を任せてしまう「永代供養」にされる方も増えていますから。

お墓を別にすることに関しては、要は法的な壁でなくメンタルの壁が大きいのです。一人だけお墓を別にしたり、墓じまいをしたり、ということは気持ち的にどうしても抵抗を感じてしまうもの。sayanさんがどの方法なら納得できるか、そこをじっくり探られてほしいと思います。
 

連載一覧はこちら↓↓

1 / 3

・老いても兄ばかり可愛がる母。「愛されたい呪縛」から解放されるには
・彼氏が二股→妊娠させ浮気相手と結婚。男性不信になった娘に母は?
・離婚につながる性格No.1は「嫉妬深さ」!嫉妬を生む意外な原因は

PROFILE
  • 原口未緒(はらぐちみお)1975年生まれ。弁護士。学習院大学法学部卒業。2004年に弁護士登録。民事、商事、家事、刑事、倒産処理、債務整理など様々な案件を担当した後、2010年に「未緒法律事務所」を開所。夫婦、離婚案件を主に扱っている。法的な解決策を提案するだけでなく、コーチング、カウンセリング、セラピー手法を取り入れ、「心のケアもする弁護士」として人気がある。著書に『「この結婚もうムリ」と思ったら読む本 こじらせない離婚』(ダイヤモンド社)がある。自身は3度の離婚を経て、現在4度目の結婚をし、第一子をもうける。 この人の回答一覧を見る
  • 山本奈緒子(やまもとなおこ)1972年生まれ。6年間の会社員生活を経て、フリーライターに。『with』や『VOCE』といった女性誌の他、週刊誌や新聞、WEBマガジンで、インタビュー、女性の生き方、また様々な流行事象分析など、主に“読み物”と言われる分野の記事を手掛ける。 この人の回答一覧を見る
 取材・文/山本奈緒子

 

ライフスタイルのお悩み回答者一覧