離婚しようか悩む娘も心配ですが、親にとっては「結婚する気がない」と言う娘も、同じくらい心配なようです。しかもその背景に、自分たちの夫婦関係が影響していたら尚更……。そんなとき親はどのような態度を取るのが良いのか。離婚問題を専門とする原口未緒弁護士に教えてもらいました。

レオのママさんからの質問

Q. 元彼も、自分の父親も浮気性のため
「結婚したくない」と言う長女。 母親の私がしてあげられることは?
 

今年31歳になる長女について悩んでおります。娘には3年ほど付き合って結婚も考えていた男性がいましたが、彼は娘の友人と二股をかけた挙げ句妊娠させて、一昨年結婚しました。そのため娘はすっかり男性不信に。加えて、私の夫も昔から浮気癖があるため、長女は「男の人は絶対浮気するから今は結婚したくない」と。結婚が正解とは思ってはいないのですが、親としてどうしてあげたらいいのか……。「結婚するつもりないの?」と聞くと、「ママが連れてきたら結婚してあげる」と言う始末。夫は、自分の浮気癖にも原因があると気づいていないため、なぜ結婚しないのかと私を責めます。(52歳)


弁護士 原口未緒さんの回答

A. 結婚のプレッシャーはかけず、
ただ自分たち夫婦の幸せな姿を見せてあげてください。


娘さんは、少し恋愛に疲れているのだと思います。それゆえ積極的に結婚したい気持ちになれないだけだと思いますので、今はそっとしておいてあげれば良いのではないでしょうか。

 

私がコーチング理論を学んでいるときに、こんな話を聞いたことがあります。子どもが不登校になったとき、親が「不登校になってしまったの、どうしよう」と悩んでいるうちは、子どもは学校には行こうとしない。でも「どっちでもいいわよ」と言うと、行くようになることが多い、と。悩んでいる親は、子どもが頑張って登校しようと家を出たら「良かった!」と喜ぶはず。そうすると子どもは申し訳なくて「やっぱり無理」と引き返すことができない。それが怖くて家を出ることができないのだそうです。レオのママさんの娘さんも、もしかしたら同じような心理を抱いているのかもしれません。「ママが連れてきたら結婚してあげる」と言っていることからも、結婚はしたくないけどお母さんを喜ばせてはあげたい、という気持ちはあるように思います。ですからもしかすると、「別に結婚しなくてもいいんじゃない」というふうに言ってあげたほうが、娘さんは気が楽になって、また恋愛しようという気持ちになるかもしれません。

レオのママさんの夫の浮気癖が原因になっているのではないか、という懸念ですが、レオのママさんは、夫の浮気があっても離婚もされず、家庭内別居のような状態になるわけでもなく、会話のある普通の夫婦関係が続いていらっしゃるのですよね? むしろ娘さんにとってご両親の存在は、どちらかが浮気をしても仲良くやっていける、という良い例になっているのではないかと思います。

もちろん、結婚を考えていた男性と友人に裏切られたことも、娘さんにとって大きなトラウマになっていると思います。そこで少しでもスッキリできるように、法的なアドバイスも差し上げておきますね。もしその男性と婚約までしていれば、婚約不履行で訴えて慰謝料を払ってもらうことは可能です。正式な結納を交わしていなくとも、指輪の交換をしている、結婚式場を予約していた、親同士を会わせていた、といった事実があれば婚約していたと認められますので、一つのケジメを付けたいと思われているようでしたら、検討されてみてください。もし友人が、お二人が婚約していることを知っていて付き合ったのであれば、友人を訴えることもできます。

とはいえ、それで男性不信が消えるわけではないと思います。それよりもレオのママさんが夫と仲良く楽しく過ごす、その姿を見せることが一番だと思います。母親の幸せそうな姿を見ていれば、娘もまた男性を信じられるようになるのではないでしょうか。
 

連載一覧はこちら↓↓

1 / 3

・義両親と同じ墓には入りたくない!妻が考えた最終手段は…
・老いても兄ばかり可愛がる母。「愛されたい呪縛」から解放されるには
・離婚につながる性格No.1は「嫉妬深さ」!嫉妬を生む意外な原因は

PROFILE
  • 原口未緒(はらぐちみお)1975年生まれ。弁護士。学習院大学法学部卒業。2004年に弁護士登録。民事、商事、家事、刑事、倒産処理、債務整理など様々な案件を担当した後、2010年に「未緒法律事務所」を開所。夫婦、離婚案件を主に扱っている。法的な解決策を提案するだけでなく、コーチング、カウンセリング、セラピー手法を取り入れ、「心のケアもする弁護士」として人気がある。著書に『「この結婚もうムリ」と思ったら読む本 こじらせない離婚』(ダイヤモンド社)がある。自身は3度の離婚を経て、現在4度目の結婚をし、第一子をもうける。 この人の回答一覧を見る
  • 山本奈緒子(やまもとなおこ)1972年生まれ。6年間の会社員生活を経て、フリーライターに。『with』や『VOCE』といった女性誌の他、週刊誌や新聞、WEBマガジンで、インタビュー、女性の生き方、また様々な流行事象分析など、主に“読み物”と言われる分野の記事を手掛ける。 この人の回答一覧を見る
 取材・文/山本奈緒子

 

ライフスタイルのお悩み回答者一覧