漫画家・おざわゆきさんが、シベリア抑留を体験した実父から直接話を聞き、その体験と綿密な取材をもとに完成させた『凍りの掌 シベリア抑留記』。
おざわさんが悪戦苦闘しながら作品を描いていく過程をドラマにした、「ドラマ×マンガ お父さんと私の“シベリア抑留”-「凍りの掌」が描く戦争-」が8月10日にNHK BSプレミアムで放送決定! コミック『凍りの掌 シベリア抑留記』の印象的なシーンが番組に織り交ぜられて進行していく、新感覚ドラマらしいです。主演が木村多江さんというのも、期待が高まります!
戦争の記憶が薄れていくなかで、意識して戦争について考える時間をもたなくては…と考えさせられる作品でした。

 

戦争体験記のなかでも、シベリア抑留に関しては戦後のことなので、発表されている資料や作品がとても少ないそうです。無事に帰国された方も差別を恐れて、実の家族にすら重い口を開くことはあまりなかったとか……。
想像を絶する過酷な環境と重労働で、亡くなった人の衣服を生きている人が剥いで自分の暖をとるために当たり前に淡々と使う。すさまじい思想教育のせいで身内のことも敵扱いして売ってしまう。そんなことが日常茶飯事のなかで、生きていく究極を見せられる作品です。おざわさんの絵柄がピュアな可愛いらしさがあるだけに、逆に胸にせまるものが。

「ドラマ×マンガ お父さんと私の“シベリア抑留”-「凍りの掌」が描く戦争-」
NHK BSプレミアム 8月10日(土)21時~21時59分(予定)
 

1話無料公開をぜひチェック!

▼横にスワイプしてください▼

Profile おざわゆき
講談社「BE・LOVE」にて80歳のヒロインを描く『傘寿まり子』で第42回講談社漫画賞一般部門受賞 !

 

『新装版 凍りの掌 シベリア抑留記』

著者 おざわゆき 講談社 電子書籍 単行本版 全1巻 756円(税込)

小澤昌一は東洋大学予科生。東京・本郷の下宿先で銃後の暮らしの中にいた。戦況が悪化する昭和20年1月末、突然名古屋から父が上京し、直接手渡された臨時召集令状。
北満州へ送られた後、上官から停戦命令の通達、すなわち終戦を知らされる。実弾を撃つことなく終わった戦争だったが、その後ソ連領の大地を北に向かわされ、ついにシベリアの荒野へ。待っていたのは粗末な収容所と、地獄のような重労働だった。シベリア抑留の極限状況を生き抜いた著者の父親の実体験をもとに描かれた衝撃作、待望の新装版!

文/藤本容子